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会議所昼食会=「選挙から来年を見通せ」=政治学者セネス氏が講演

2022年8月26日

講演するリカルド・セネス氏
講演するリカルド・セネス氏

 ブラジル日本商工会議所(村田俊典会頭)は19日、「定例懇親昼食会」をサンパウロ市エスタンプラザインターナショナルホテルで開催し、日系企業関係者約90人が参加した。恒例のゲスト講演は、テレビ局「TV Cultura」のニュース番組「Jornal da Cultura」でコメンテーターを務める政経学者リカルド・セネス氏が「2022年ブラジル選挙―その見通しとインパクト」をテーマに行った。

 冒頭あいさつで村田会頭は、「ブラジル駐在25年の間、4回の国政選挙を見てきました。今回は2014年のジウマ・ルセフ氏対アエシオ・ネベス氏に比肩する見どころある選挙だと思います。国民が誰を選ぶかを見て、来年以降のブラジル政府がどう変化するかを見通すことは日系企業にとって重要です」と述べた。
 講演を行ったセネス氏はブラジルシンクタンク大手Prospectiva社の創業者で、政治経済シナリオの分析や公共政策の策定と実施、それらが企業に対して与える影響評価の専門家。産業政策や国際市場向けプロモーション、導入プロジェクトも手掛ける。
 セネス氏は講演で、ボルソナロ大統領は1985年以降の歴代文民政権大統領の中でも異色な存在であるとProspectiva社の分析から解説。歴代大統領の支持基盤は政党や地域の有力者だったが、ボルソナロ大統領は国会議員歴26年間の間に8回も所属党を変えている。加えて常に現行体制を批判し、行動の予測が難しい人物と述べた。
 ブラジル大統領選は10月2日に実施される。同時に下院、上院、全27州知事、各州議会も選出するので、実態はブラジルの総選挙に当たる。選挙を終えても年内は議員や政党が連立を組むなど見過ごせない動きがある。選挙後100日で大臣が任命され、3月頃から国の大きな決定が行われ始めるとした。
 これまで常に議席の最多を占めてきたのは中道右派だった。大統領が左派右派のどちらから選出されても、極右2割、左派・中道左派約3分の1の議会構成は変わらないと予測した。一方でボルソナロ大統領は国会への影響力が低いが、ルーラ元大統領は強いとした。
 今回の選挙戦の特徴は、ボルソナロ大統領もルーラ元大統領も極端な政治思想の打ち出しを弱め、中道寄りの支持を取り込む戦略を進めてきたところにあるとした。ルーラ氏は副大統領に堅実な政治イメージを持つジェラウド・アルキミン氏(元ブラジル社会民主党(PSDB)、現ブラジル社会党(PSB))を置き、信頼を高めようとしたが、効果の程は期待外れ感が否めないとした。
 パンデミック以降、国際的な需給バランスが崩れた。世界的なインフレはブラジルにも波及し、ブラジルの金利の高さは、中央銀行の失策とも相まって世界トップ5となった。経済見通しが立てられず、長期的な投資にも影響を及ぼしている。
 次期政権の経済政策の課題は、1年で経済を安定させ、3年で経済政策を軌道に乗せ、市場に安心感を提供することとした。
 質疑応答で桑名良輔在サンパウロ総領事が、「ルーラ氏とボルソナロ氏のどちらに勝算があるか」と質問したのに対し、セネス氏は様々なデータを挙げてルーラ氏が優勢と答え、「ボルソナロ氏は、ブラジル史上初めて、個人の評価が政権の評価より低い大統領」と付け加えた。
 講演後、桑名総領事は、先日訪問したノロエステ地方のプロミッソン市とカフェランジア市(平野植民地)について報告を行い、今後も日系社会との連携を高めていくことを強調した。

 


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