《ブラジル》来年度連邦予算案で最賃1302レ=アウシリオ405レのまま=選挙演説と異なる数字も

連邦政府が8月31日に、最低賃金1302レアルなどを盛り込んだ2023年度の予算案を提出と8月31日、9月1日付現地紙、サイトが報じた。
来年度予算案は、10月の統一選の結果が出ていない上、大統領選のキャンペーンで語る内容と相容れない数字もあるなど、不確定要素が多い。その事を大前提に予算案を見ると、いくつかの特記すべき項目がある。
その第1は年金その他の支払いの基本ともなる最低賃金(最賃)だ。予算案での最賃は1302レで、8月10日に裁可された連邦予算基本法(LDO)で定められた1294レを上回っている。
この事はLDOの承認、裁可時よりインフレ見通しが高進している事を示し、年末時点のインフレ率次第でさらに調整される可能性がある。最賃額は4年連続で全国消費者物価指数(INPC)に基づく調整のみとなり、前政権まで続いたインフレ+国内総生産(GDP)成長率より小幅な調整となる。
ボルソナロ大統領が貧困層の票獲得を狙って導入、増額した生活扶助のアウシリオ・ブラジルの平均月額は、405レと設定されている。
アウシリオの月額は大統領候補達が気を使う数字の一つで、現状の600レを維持するか引き上げると語る候補が多い。現在の支給額は12月までの一時的なものとしたはずのボルソナロ氏も得票狙いで現状維持と言い出したが、経済省では早い時期から現状維持は無理と見ている。
また、公務員給調整用には142億レを計上。内116億レは行政府と連邦直轄区の公務員の調整用だ。経済省は公務員数減少が調整用予算の伸びの抑制に役立つとしている。
なお、インフレ抑制のための減免税は継続する意向らしく、ボルソナロ大統領が18年選挙で約束した所得税の課税基準見直しは実現不能なようだ。所得税の課税基準は据え置きが続き、インフレ調整されていれば免税のはずの人にも納税義務が生じている。
基礎的収支の赤字額はLDOで認められた6590億レが637億レに減額されたが、市場関係者などは実際にはこの額を超えるのは必至と見ている。
議会対策などに使われ、汚職問題も起き易い秘密予算には194億レを計上している。