《ブラジル》貯蓄預金の月間出超額が過去最高=債務者や債務不履行増加で==基本金利の高止まりも影響

中央銀行が6日、8月の貯蓄預金(ポウパンサ)は220・15億レアルの出超で、月間出超額の新記録を更新したと発表したと6、7日付現地紙、サイトが報じた。これまでの月間出超額の最高は今年1月の196・65億レアルだった。
ポウパンサは1995年1月創設で、家屋購入時の貸付などの資金源でもある。今年は5月に35・14億レアルの入超だった以外は全て出超で、今年の累積出超額は851・67億レアルとなった。貯蓄預金の出超は、負債を抱える家庭の増加と金利の高止まりが主な原因だ。
全国財・サービス・観光商業連合(CNC)によると、8月は79%の家庭が負債を抱えており、7月の78%や昨年8月の72・9%を超えている。また、何らかの負債の支払いが遅れている債務不履行家庭も、昨年8月の25・6%を4%ポイント上回る29・6%に増えた。CNCによると、どちらの数字も2010年の統計開始以来、最大だという。
CNCでは、高インフレと高金利が家庭の財政状況悪化を招いており、新型コロナの影響からの回復を遅らせる原因となると指摘。
第2四半期の国内総生産(GDP)の伸びを牽引した項目の一つは家計消費だが、GDPの伸びと並行し、昨年からは負債を抱える家庭や負債額、債務不履行も増えている。債務増加は来年以降、購買力低下や家計消費の減少となって表れる見込みだ。
銀行業務集中サービス会社(Serasa)も、7月の債務不履行者は2016年の統計開始以来最高の6760万人だったとしている。中銀が現在使える最新データの5月の数字でも、一般家庭が抱える負債額は12カ月間の收入の52・8%に及び、2005年の統計開始以来最大だったという。コロナ禍前の2020年2月現在の負債額は、12カ月間の收入の41・8%だった。
また、現在の経済基本金利(Selic)は13・75%に引き上げられたが、貯蓄預金の金利は6・17%と参考金利(TR、現在は0%)だから、12カ月では2桁台という高インフレ下では預けておいても目減りすると考え、利率の良い投資ファンドなどに乗り換える人も多い。