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山本神父「急がず焦らず着実に」=中村長八神父の尊者申請運動

2022年9月13日

中村ドミンゴス長八神父の写真を前に、聖母婦人会と長崎県人会の皆さん(サンゴンサーロ教会)
中村ドミンゴス長八神父の写真を前に、聖母婦人会と長崎県人会の皆さん(サンゴンサーロ教会)

 日伯司牧協会(サカモト・タケミ・エリオ代表、神父)は、日本初の海外派遣布教使として、ブラジル日本移民にキリスト教カトリックを布教した中村ドミンゴス長八神父(1865―1940年没)を、同宗派の定める「尊者」に認定登録する運動を進めている。認定されればブラジルに移住した日本人では初めての「尊者」となる。8月14日にサンパウロ市で行われた長崎・広島被爆犠牲者ミサの最後にも同神父への祈りが捧げられた。
 中村神父は隠れキリシタンで有名な長崎県五島出身。1923年、教皇庁布教省から依頼をうけて58歳でブラジルに派遣され、サンパウロ州ノロエステ線のプロミッソンなど各地の日系移住地で伝道活動をおこなった。その後、サンパウロ州ソロカバナ線のアルヴァレス・マッシャード市を拠点に布教活動に専念した。
 「尊者」は、同宗派が定める「聖人」「福者」に次ぐ位階。
 尊者申請運動はサンパウロ州ボツカツ司教区の司教らが中心になって結成した「中村長八神父列福調査委員会」により、2002年に始まった。
 同調査委員会ではポルトガル語で中村神父の伝記を編纂し、その他詳細な調査書を教皇庁の列聖列福聖省へ送付し、手続きを進めている。ブラジル側でまとめた中村神父の調査書は、バチカンの特別委員会で審議が重ねられる運びだ。省内の神学者委員会、枢機卿委員会、教皇の認可を得る「長い道のり」になるという。
 登録運動に携わる山本伊三男神父は「信者からの証言集めは終わりました。現在は司祭などの聖職者からの証言を集めているところ。亡くなってから82年、直接に知っている人はほとんどいなくなりました。でもアンシェッタ神父が聖人に認定されたのも没後400年以上経ってからでした。急がず焦らず、着実に進めたい」と述べた。
 アンシェッタ神父は1554年にサンパウロ州で最初にミサを行ったイエズス会宣教師。2014年に列聖された。
 8月14日にサンパウロ市で行われた長崎・広島被爆犠牲者ミサでは、《神よ、あなたは限りない慈しみをもって数多くの恵みをあなたの僕ドミンゴス・中村長八神父に与えてくださいました。彼は牧者、旅する宣教者として隣人への愛のため、遠い道程を厭わず、福音の奉仕と人々の回心と魂の救いのために数百の村落をめぐりました。彼の謙遜、清貧、労働の模範にあやかる望みを私たちのうちに燃え上がらせてください。信仰と希望と愛徳を増し、私たちが強く望んでいるお恵みを与えてくださいますように。アーメン》との祈りがささげられた。
 中村神父の伝記は07年に『中村長八神父小伝』として、聖母の騎士社から日本でも出版された。


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