《サンパウロ州》知事選討論会で現職ガルシアに集中砲火=前任のドリアにも批判=ハダジとタルシジオが裏の駆け引きで

13日、クルトゥラ局でサンパウロ州知事選候補たちによる討論会が行われた。現在の支持率で1位のフェルナンド・ハダジ氏(労働者党・PT)と2位のタルシジオ・デ・フレイタス氏(共和者・RP)が、3位で現職のロドリゴ・ガルシア氏(民主社会党・PSDB)を討論相手に選ぶなどの駆け引きが見られた。14日付現地紙、サイトが報じている。
討論会はハダジ氏、タルシジオ氏、ガルシア氏に、エルヴィス・セーザル氏(民主労働党・PDT)、ヴィニシウス・ポイト氏(ノーヴォ)を加えた5人で行われた。
口火を切ったのはタルシジオ氏。ガルシア氏に対し、サンパウロ州内で工事が止まったままの事業に関し、その理由を問いただした。それに対してガルシア氏は、「止まった工事よりも完成したものの方が多い」と返し、「工事が進まないのは連邦政府からの支援が足りないからだ」と、ボルソナロ政権前インフラ相だったタルシジオ氏に皮肉で切り返した。
これに対し、タルシジオ氏は前知事のジョアン・ドリア氏の名を持ち出し、「あなたは都合の良いときだけドリア氏に近づき、悪くなると距離を取ろうとする」と批判。するとガルシア氏は、「あなたはリオ生まれでサンパウロ州のことを知らない。ブラジリアからも出ようとしなかったではないか」と、選挙拠点で問題となったタルシジオ氏をからかった。
ハダジ氏はガルシア氏に対し、医療問題で質問を行った。ハダジ氏は、ドリア氏とガルシア氏の政権でサンタカーザ病院への援助が止まったことや、統一医療保健システム(SUS)に行列ができていることを批判。それに対してガルシア氏は、ハダジ氏がサンパウロ市長時代に「24時間対応の緊急医療施設(UPA)を25軒建てると公約したのに、3軒しか建てなかったではないか」と反論した。
これに対しハダジ氏は、「ドリア氏は自身の出世のために1年余りでサンパウロ市市長を投げ出し、サンパウロ州知事の任期も終えられなかった」とし、「あなた方は子供たちのミルクの配給は打ち切る、高齢者の生活を苦しくする、(低所得者の多い)サンパウロ市東部の商品流通サービス税(ICMS)を上げるなど、ひどいものだ」と激しく非難した。
ハダジ氏は別の機会でもガルシア氏を攻撃した。ジャーナリストがガルシア氏に対してドリア氏との関係を指摘した際、「私には政治的な恩師にあたる人がいない」と言ったのを聞き、「ジルベルト・カサビ氏やセウソ・ピッタ氏の元にいたではないか」と反論した。ピッタ氏は「史上最悪のサンパウロ市市長」と評され、選挙キャンペーンではしばしば、「悪しき例」の代表として利用されている。
その一方で、ハダジ氏とタルシジオ氏が攻撃し合うことはなく、2人はこの日、終始友好的な姿を見せていた。それは決選投票に備えてのものだ。ハダジ氏は、サンパウロ州に強い地盤のあるPSDBのガルシア氏より、拒絶率が高いボルソナロ氏が推す候補のタルシジオ氏の方が組みやすいと考えていると報じられている。他方、タルシジオ氏は、熾烈な2位争いを繰り広げているガルシア氏をふるい落とす必要があると見られている。