街角ちょっと見=若者に負けない頭脳の秘密は?

ブラジル将棋連盟は8月26~27日、サンパウロ市で将棋大会を開催した。同大会の中で行われた「第1回早指し名人戦」には9人が参加。早指し戦は、対局持ち時間が4分間しか与えられず、普段の試合よりも頭を高速で働かせなければ勝つことはできない。「早指しは若者が有利」との通説がある中、2~60代の参加者を退け、優勝したのは、83歳の吉田国夫さん(2世)だった。
「家族の勧めで3年前から頭に良いという栄養素『オメガ3』のサプリメントを摂り始めました。コロナ禍をきっかけに始めた毎日2時間の将棋のネット対戦も影響しているでしょうね」。吉田さんに若者に負けない頭脳のわけを聞くとそう答えた。
「オメガ3」は、日本語正式名を「Ω―3脂肪酸」と言い、aリノレン酸、DHA、EPAの成分で構成されている。DHAは青魚にも多く含まれ、脳神経の活性化や記憶力向上に効果があるといわれている。
吉田さんはブラジル将棋連盟の前会長で、当地将棋大会で数多くの優勝経験を持つベテラン棋士。同時開催された「第73回ブラジル名人戦」での活躍は予想されていたが、若者有利の早指し戦での優勝には参加者らも驚いた。
高齢者が苦手とするパソコンの操作だが、吉田さんはパソコンが普及し始めた約25年前、ブラデスコ銀行が窓口業務にパソコンを導入したのを見て「これからはパソコンを使えないといけない時代がくる」と予見し、当時まだ高価だったパソコンを購入。「日本の音楽を聴くのが好きだったので、そのために自然に操作も覚えました」という。ネット対戦もそのお陰で抵抗なく始めることができた。
健康増進のために、栄養を摂って、運動することが重要なのは周知の事実だが、どうやら頭脳も同じなようだ。(石)