《ブラジル》選挙高裁が選挙活動への使用全面禁止に=大統領の公式旅行中の映像

選挙高裁が22日、全会一致で、ボルソナロ大統領が公務で行った外国旅行中の映像を選挙活動に使用する事を禁じたと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
この判決は、大統領候補の一人のソライア・トロンキッケ氏が提出した訴状(AIJE0601154―29)を受けたものだ。
同氏は、ボルソナロ大統領が英国のエリザベス女王の国葬に参加するために訪れた18~19日のロンドンでの言動や、20日に国連総会で行った演説などを使った選挙キャンペーン用のビデオを公表した事を受け、職権乱用や公費の私用に他ならない、選挙法違反だと訴えていた。
22日の審理で報告官を務めたベネジト・ゴンサルヴェス判事は、ボルソナロ氏がロンドンにあるブラジル大使の公邸のベランダで支持者達を前に行った演説などを、明らかに大統領という立場を利用した選挙活動と位置づけた。
選挙法では、候補者間の機会均等に影響を与えるとの理由で、再選を目指す公職者がその地位の特権を利用する事を禁じている。
なお、22日の審理では、ボルソナロ氏が所属する自由党(PL)がユーチューブに掲載した、ルーラ元大統領に対して否定的なイメージを植え付けようとする内容のビデオの削除も決まった。
この件の報告官はマリア・クラウジア・ブチカネリ判事で、ルーラ氏の代理人が申し出た、ルーラ氏を国民の敵であるかのように描いたビデオの差し止め請求を受け入れ、PLの公式サイトから問題のビデオ(宣伝)を削除するよう命じた。
同判事は、このビデオは世論に精神的・感情的な影響を与えるから違法だという主張は却下したが、ビデオにはPLの納税者番号(CNPJ)と連立党による選挙キャンペーンである事を示す透かしがなく、違法だとして、削除を命じた。
規定では、選挙キャンペーンに使うビデオや映像は、選挙宣伝用である事や制作責任者は誰かを明らかにする必要がある事が定められている。同判事によると、このビデオも規定を満たせば再掲載できるという。
ボルソナロ大統領やその陣営は、エリザベス女王の国葬出席や国連総会での演説は、同氏が国際社会でも受け入れられている事を示し、国際的なイメージを回復させるのに役立つと考えていた。
だが旅行中のイベントでの演説や映像は全て、選挙活動に利用する事ができなくなった。9月7日の独立記念日にブラジリアとリオ市で行われたイベントでの映像も、同じ理由で選挙活動での利用が禁じられている。