《ブラジル》選挙高裁=選挙目的の大統領ライブ禁ず=官邸や公邸、機材利用は違法

選挙高裁のベネジト・ゴンサルヴェス判事が24日、再選を目指しているボルソナロ大統領に対し、プラナルト宮(大統領府)や大統領公邸を使った選挙キャンペーン用のライブ配信を禁じたと24付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
この司法判断は民主労働党(PDT)の訴えを受けたもので、選挙直前になって大統領が行ったライブ配信が従来から行っていた木曜日恒例のライブ配信とは異なった曜日と内容であった事と、ライブ配信に使った機材や経費は公的なものである事などから、選挙法違法とした訴状を全面的に受け入れた内容となった。
発端となったのは21日に行われたライブ配信で、以前から行われている木曜日ではなく、水曜日に行った上に、選挙が近いため、毎日行う意向である事や、時間の一部は他の候補を支援するために利用するつもりである事を明言した。また、この日の配信では実際に、自分が推す別の候補に票を入れる事を求めている。
ゴンサルヴェス判事の司法判断では、大統領府や大統領公邸を使ったキャンペーン向けの新たなライブの配信を禁じると共に、21日のライブ配信のビデオをSNSから削除する事も命じている。
ボルソナロ大統領はこの司法判断を不服として上告したが、ゴンサルヴェス判事は25日にこの上告を却下している。
なお、ボルソナロ大統領は25日も自分自身や他の候補への投票を呼びかけるライブを配信した。録画は国旗や照明、録画用の機器も揃った場所で行われたが、大統領府や大統領公邸ではなく、選挙高裁の命令に従った形だ。大統領や側近は録画した場所などを明らかにしていない。
ボルソナロ大統領は既に、9月7日の独立記念日のイベントや、エリザベス女王の国葬に参加するために英国を訪れた際にロンドンの大使公邸で行った演説、20日の国連総会で行った演説の映像や写真を選挙活動に使う事を禁じられ、SNSに掲載された映像や写真の削除も命じられている。
これらの措置は皆、公式な立場やイベントを利用し、公費による選挙活動を行ったと判断されたためで、政党などの訴えを受けた判事による司法判断後、選挙高裁の全体審理で正式に禁じられている。