《ブラジル》9月のIPCAもデフレ=3カ月連続は98年以来=決選投票まで値上げ禁止?

地理統計院(IBGE)が11日、9月の広範囲消費者物価指数(IPCA)は前月比0・29%減で、3カ月連続のデフレだったと発表したと同日付現地サイトが報じた。
3カ月連続のデフレは1998年7~9月以来。7~9月のデフレ率は0・68%、0・36%、0・29%で小幅になってきているが、3カ月間のデフレ率4・09%は1980年の統計開始以来(1994年を開始年とする説もある)最大だ。12カ月累積は7・17%に低下したが、政府目標上限の5%には程遠い。
デフレを牽引したのはガソリンなどの燃料費で、輸送・公共交通部門のIPCAを1・98%押し下げた。燃料価格の低下は商品流通サービス税(ICMS)の課税率引き下げと、国際的な原油価格の値下がりが原因だ。
輸送部門以外でデフレだったのは、通信の2・08%、家庭用品の0・13%、食品・飲料の0・51%だ。他方、被服費は1・77%、個人支出は0・95%、居住費は0・6%、保健・パーソナルケアは0・57%、教育費は0・12%上昇した。
9月がデフレとなる事は15日締めのIPCAが0・37%のデフレだったと発表された時点で確実視されており、中銀の経済動向予測調査「フォーカス」も今年のIPCA予測値を5・74%から5・71%に修正したが、中銀は今年のIPCAは昨年の10・16%に続き、目標上限突破と見ている。
物価上昇が抑制されると消費者の購買力が増すが、値上がり中は上る前に買おうとする人が増え、値下がり中はもっと下がるはずと様子見をしがちだ。雇用は回復の途上なのに8月の小売販売が微減した原因は、負債を抱える家庭増加とデフレだった可能性がある。
なお、燃料費は原油の国際価格上昇で国際価格との差が開きつつあり、ペトロブラスが値上げに踏み切る時期が注視されている。ボルソナロ大統領は選挙戦への影響を嫌い、値上げは決選投票後とするよう圧力をかけ、役員入れ替えも示唆しているという。
ジウマ元大統領は選挙前の経済指標の発表を遅らせて批判されたが、現政権では補填財源を示さない減免税や恣意的な価格調整などが批判され得る。