ボルソナロ=最高裁判事増員を慌てて否定=国民からの強い反発恐れ

ボルソナロ大統領は11日、9日にほのめかしていた再選時の最高裁判事増員案を、国民からの強い反発を受け、慌てて否定した。同案に対しては上下両院議長も慎重な姿勢を示している。一方で、連邦議会内には推進派も少なくないため、三権分立のバランスが崩れかねないとの懸念が強まっている。12~13日付現地紙、サイトが報じている。
最高裁判事を現行の11人から15人にする同案は、連邦議会内の大統領派から上がっている。ボルソナロ氏は9日、同案に関して、「自分一人では決められないこと」としながらも、「最高裁が自分との対決ムードを緩和したら取り下げてもいいんだが」と語った。
だが、この発言が物議を醸したため、同日中に同案を否定する意向を示した。また、11日には改めて「あれはマスコミの作り話」として、最高裁判事増員案を否定した。
これに関しては、アルトゥール・リラ下院議長やロドリゴ・パシェコ上院議長も「選挙のタイミングでする話ではない」と消極的な姿勢を見せた。とりわけパシェコ議長は、「国民に意向を問いただす必要がある」とも語っている。
ボルソナロ氏がこのような態度をとったのは、国民からの強い反対も予想される案件に固執し、決選投票で不利になることを恐れたからと見られている。最高裁判事の増員は、2003年にベネズエラのチャベス大統領が行い、同国での独裁政治が決定的になったことで、「民主主義の脅威」として国際的に恐れられている。
ボルソナロ氏は2018年の大統領選の際、最高裁判事増員の希望を語っている。また、連邦議会の保守派やセントロン勢力の一部でも最高裁増員を希望する声がある。下院政府リーダーのリカルド・バロス下議(進歩党・PP)は10日、「この法案は最高裁が力を持ちすぎていることに対する答えだ」と発言。上議に当選したアミウトン・モウロン副大統領もこの件を議会で審議したい意向を強く表明して批判を受け、慌てて否定している。