トラックストの影響深刻化=薬などの必需品不足や飛行機欠航

【既報関連】統一選の決選投票でルーラ氏(労働者党・PT)が当選した事を不服とする、ボルソナロ氏支持派のトラック運転手達によるストは、1日に解除に向けた動きが加速したが、全国規模となったストによる影響が様々な形で報告されている。
10月30日夜から始まったストは、国道を中心とする幹線道路にトラックを並べたりタイヤを焼いたりして通行を妨げる道路封鎖が中心だが、一部では車の窓を壊したりする暴力行為も見られた。
また、10月31日以降に具体的になったストの影響には、国内最大のグアルーリョス国際空港に向かうエリオ・シュミット道封鎖のせいで乗務員や乗客が空港まで行けない、燃料の補給ができないなどの理由による航空便の欠航や離着陸の遅れが含まれる。
燃料補給の問題はガソリンスタンドなどでも起きており、給油できなくなる可能性があるため、車での外出を控えるようにとの指示が出た自治体もある。
生活必需品の不足は燃料だけではなく、市場への食品供給が2割近く減ったとか、薬などの不足が起こり始めた病院や薬局など、日を重ねるに連れ、状況は深刻化。中には命を保つために不可欠の栄養食品が届かなくなったとか、救急車が迂回を強いられたなど、生命の危機につながる問題も出ている。
事態を重く見た最高裁のアレシャンドレ・デ・モラエス判事は10月31日夜、国道の運行管理を担当する連邦道路警察(PRF)にスト解除を命じ、スト参加者のみならず、PRF長官にまで多額の罰金を科す事と、解除命令に従わない場合には逮捕も認める司法判断を下し、最高裁の全体審理でもこの判断を承認した。
解除に向けた動きには1日に知事達が命じた軍警の投与も含まれており、PRFや軍警が出動し、ゴム弾や催涙ガス弾を使ってスト参加者を撤退させる様子も報道された。
サンパウロ州に限定して見ると、軍警の特殊部隊が、エリオ・シュミット道やカステロ・ブランコ道、レジス・ビッテンコート道などに派遣されてスト参加者らに撤退を迫った。エリオ・シュミット道では1日13時現在もトラック運転手達が残っていたが、道路封鎖はもう行わなくなっていた。
今回のトラックストはトラック運転手らの組合さえ違憲と認めるもので、ボルソナロ大統領が選挙で負けた時点ですぐに負けを認める宣言を行わなかった事が事態をより悪化させたとされている。
そういう意味で、ボルソナロ大統領が1日午後4時半頃に憲法に従って行動すると約束する宣言を行った事と、最高裁や知事達による解除への働きかけが奏効すれば、封鎖は一両日中に解除され、それ以外の事柄も正常化に向かうと見られているが、2日にわたるストの影響が完全に解消されるのには数日間かかる可能性がある。