ルーラ、三権の協調と協力求める=上下両院議長との調整開始=最高裁とも関係修復目指す

ルーラ次期大統領は9日、連邦議会と最高裁を訪れ、アルトゥール・リラ下院議長、ロドリゴ・パシェコ上院議長、ローザ・ウェベル最高裁長官らと会談を行い、次期政権での協力を求めた。9、10日付現地紙、サイトが報じている。
ルーラ氏は9日午前中、リラ下院議長の公邸を訪れ、会談を行った。この会合にはジェラルド・アルキミン次期副大統領やグレイシ・ホフマン労働者党(PT)党首、同じくPTの政権移行コーディネーターのアロイージオ・メルカダンテ氏やジョゼ・ギマリャンエス下議、レジナルド・ロペス下議らも同席した。
ルーラ氏はリラ議長との会合で、大統領選のキャンペーンの際から主張していた社会保障給付金「アウシリオ・ブラジル」の600レアルの支給維持を改めて訴えた。600レアルという額は、ボルソナロ大統領が自身の選挙対策を視野に入れて引き上げたものだが、現在の予算案では23年に入ると400レアルの支給に戻ってしまうため、歳出上限の例外を認める憲法補則法案(PEC)の承認が必要となる。
ロペス下議が会談後に語ったところによると、話し合いは友好的に進み、「600レアル支給に向けた動きは必ず起こる」という。同下議の見込みでは12月初旬までには承認できるのではないかと見ているが、PECの提出は議会との話し合い後に先送りされており、具体的な提出日は決まっていない。
この後、ルーラ氏はパシェコ上院議長と昼食会を行った。ルーラ氏はこの席上で、同議長の地元のミナス・ジェライス州で、パシェコ議長と同じ社会民主党(PSD)の知事候補でルーラ氏も推していたアレッシャンドレ・カリル氏が落選したことを残念がると共に、同州での得票率がボルソナロ氏を上回ったことが大統領選での勝利につながったと感謝したことなどが伝えられている。
会食後、ルーラ氏はパシェコ氏と2人きりで10分ほどの会談も行っている。そこでもリラ議長同様、アウシリオ支給額維持などのための移行PECについての相談が行われたと見られている。
ルーラ氏は午後4時頃に最高裁に出向き、ローザ・ウェベル最高裁長官をはじめとした10人の判事と会談を行った。最高裁と連邦政府の関係はボルソナロ大統領が起こした対立によって悪化していたが、この会合はルーラ氏が三権の関係修復を求めて行ったと見られている。
この会合には上議に当選したフラヴィオ・ジノ前マラニョン州知事も参加した。同氏は法相か次期最高裁判事に指名されるのではないかと見られている。
ルーラ氏はこの後、今回の大統領選中、選挙高裁長官も務めたアレッシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事との個別会談も行っている。面会が行われた時間はちょうど、国防省が大統領選に関する軍の監査結果の報告書を提出し、声明を出したタイミングだった。
この会談後、モラエス判事は大統領選を振り返り、「民主主義が勝ったということだ」とのコメントを行っている。