小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=68
と、忠告した。当然すぎる助言であったが、入植者たちは一応納得して帰り、それぞれ棉摘みに精を出した。約束を守らないということから、先方は以前にサインを強いた赤ら顔のダミオンをはじめ、数人の荒らくれ男が植民地の端に空いていた小屋に住みこみ、日ごと、歩合作を納めろ、さもなくば金で支払えと嚇しかけた。
植民地の者は、彼らが来るたびに金を掴ませ、ことを荒だてぬように気を配っていたのだ。男たちはその金で飲み、酒の勢いで次の家族を恐喝するという悪循環が続いた。
棉花の収穫が殆ど済んだある日曜日。青年たちは斉藤の家に隣接したグランドでキャッチボールの練習をしていた。日系人...
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