マナウス=年末商戦前に生産休止=干ばつで水運に大痛手

【既報関連】エクアドル沖の太平洋の海水温が上がるエルニーニョ現象と大西洋の海水温上昇が重なって生じた北部での干ばつはより深刻化し、その影響が顕著になっている。

16日付G1サイトなど(1)(2)(3)によると、アマゾナス州での干ばつが過去121年間で最悪だ。このことは、ネグロ川の水位が13・59メートルになった16日の時点で報じられたが、現在の水位は12メートル台だ。
19日付アジェンシア・ブラジル(4)によるとルーラ大統領は19日、コロンビアのグスタヴォ・ペトロ大統領との電話会談でアマゾニア州での干ばつなどについて話し合った。会談ではエクアドルやベネズエラも交えた干ばつ対策のための会合開催も決まったが、会合日程は未定だ。
干ばつの影響は拡大する一方で、工業製品や原材料、生活用品などを運ぶ船舶の航行はますます困難になっている。
18日付ICLノチシアス・サイトなど(5)(6)によると、マナウス工業地帯では生産活動継続が困難で、大手100社超の内の35社が25日~11月4日に集団休暇を前倒しした。
同州工業連盟は水運が思うように機能せず、集団休暇を採用する企業が出ていることや水位観測の新体制を作る必要、ブラックフライデーやクリスマス商戦がある第4四半期はマナウス免税ゾーンにとって最重要な時期であることなどを認めた。同州工業センターも、水深2メートル以下でも航行可能なフェリーは積載量が少なく、速度も遅い。港での資材の長期保管や予期せぬコンテナの移動などで輸送経費も増加と語っている。
日常生活での影響も顕著で、18日付G1サイト(7)はアマゾナス州西部にあり、全国で2番目に先住民が多いサンガブリエル・ダ・カショエイラ市の電力供給が輪番制になり、基礎食料品セットの食品さえ不足、食料品価格が上昇と報じた。状況は他の58市でも同様だという。
23日付G1サイトなど(8)(9)は、漁や水運を頼りとする63の川沿いのコミュニティでは手工芸品を含む産物販売や宿泊・観光などの活動が滞り、外部から寄付された食料や水も干上がった川底を歩いて運んでいると報じた。川底がひび割れ、ガスの輸送管が露出している所も出ている。
ネグロ川やソリモンエス川では大量の魚が浮き、漁師達を脅かしている。川や井戸が干上がり、灌漑が困難な上に強い日差しで農作物が焼けるなど、農家も窮状を訴えている。
22日付G1サイト(10)によれば、アマゾナス州の非常事態宣言市は62市中59で、63・3万人が影響を受けている。
干ばつ被害は他州でも出ており、22日付G1サイト(11)(12)によれば、連邦政府は19日、貯水池が涸れ、飲用水の供給が不能となった上、火災多発で、13日に非常事態を宣言したアマパー州タルタルガルジーニョを非常事態と認定。同州政府は22日、州全域に森林火災での非常事態を宣言した。
干ばつ被害は北東部のマラニョン、ピアウイ、バイア、セルジッピの諸州にも及んでいる。
20日付アジェンシア・ブラジル(13)は、国連の報告書によると、エルニーニョ現象は24年半ばまで続き、ラ米地区では多くの地域で例年以上の雨が降り、農業生産などにも影響を及ぼすとの見通しを報じた。だが、中米地区の干ばつは年内で終わる見込みだという。