ルーラ=イスラエルも虐殺と批判=「多くの子供や女性が犠牲」=高まる親パ派休戦要求デモ

【既報関連】ルーラ大統領は13日夜、ガザ地区から帰還したブラジル人らを迎えた後の会見で、「イスラエルもハマス同様に虐殺を行っている」との批判発言を行った。イスラエルへの風当たりはこのところ、国際的に強まっており、ブラジル国内でも抗議活動が行われている。14日付フォーリャ紙(1)ヤヴェージャ誌(2)が報じている。
ブラジル人とその家族を含む、戦火のガザ地区からの帰還者32人は、エジプトへの国境越えに時間を要したものの、現地時間の13日午前中に同国首都のカイロを飛び立ち、スペインのラ・パルマを経由した後、ブラジリア時間の20時22分にペルナンブッコ州レシフェに到着。最終目的地のブラジリアの空軍基地には23時14分に到着した。ルーラ大統領も到着した人々を出迎え、抱擁を交わし、もてなした。
大統領はこの後の会見で、「ハマスもテロを犯した。だがその一方でイスラエルも何度もテロ行為を繰り返している。戦争に巻き込まれてはならない子供や女性たちが多数、犠牲となっている。兵士だけでなく、子供たちが亡くなっているのだ」と語った。
大統領はさらに、「人々が何年もかけて作った家や建物、通りが、いとも簡単に爆弾で壊されていく。誰が再建の責任を負うのかもわからぬままに」と続け、さらに「既に子供が5千人以上亡くなっており、さらに1500人が瓦礫の下で行方不明になっている」とイスラエルを批判した。
ルーラ氏は14日朝の恒例のライブ番組「大統領と対話」の中でも、イスラエルに関して、「ガザ地区を独占し、(ハマスではなく)パレスチナ人を追い出したいように見受けられる」と発言し、「だがそれは間違いだ」と語った。
大統領は13日の日中にも「イスラエルは罪のない子供に対して爆撃を行っている」と発言しており、CNNブラジル(3)が報じるように、これに対してブラジル・イスラエル協会(Conib)が「無思慮で危険な発言だ」と批判している。
イスラエルに対しては、ハマス攻撃を理由として病院や国連機関職員、ジャーナリストまでが破壊され、殺害されているとして国際的な批判が高まっている。イスラエルの国連代表は10日、ガザ地区のパレスチナ難民らの健康状態を懸念する内容の報告を行った世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長を前に、「保健省職員も、国連パレスチナ難民救済事業機関職員も、救急車の運転手も、ジャーナリストも、全員がハマスだ」との発言を行い、物議を醸している。
国連で行われたガザでの停戦、和平への取り組みは、国連安保理でのブラジルの提案が12カ国の賛成を得、全体会議でもヨルダンの提案が120カ国の賛成を得たが、米国が反対して前進していない。
休戦が実現しない背景には西側の親イスラエル諸国の政府が止めているという事情があるが、それらの国でもワシントンDCやロンドン、パリなどで、休戦や停戦を求めるデモが起こっている。参加者にはユダヤ系も少なくない。テルアビブでは、人質解放を求め、200のベッドを並べる抗議行動も起きた。
アジェンシア・ブラジル(4)(5)によると、12日にはブラジルでも、サンパウロ市やブラジリアで親パレスチナ派による休戦要求デモが行われている。