下院議長=政府に強い不満表明=大統領の予算拒否で=政府法案承認難航へ

連邦議会は5日から再開したが、下院では、連邦政府のアルチクラソン(政局調整)とアルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)の来年の後継人事を巡り、緊張感が高まっていると、4日付フォーリャ紙(1)(2)(3)などが報じている。
下院では5日の仕事始め早々、強い緊張感が走っている。その一例が、6日に予定されていたフェルナンド・ハダジ財相(労働者党・PT)と政党リーダー達との会合が中止になったことだ。
その大きな理由とされるのが、ルーラ大統領が今年度の予算法を裁可した際、委員会が要請する議員割当金の内、56億レアル分に拒否権を行使したことだ。これに中道勢力「セントロン」が反発。その矛先は、アルチクラソン担当のアレッシャンドレ・パジーリャ大統領府渉外室長官(PT)に向けられた。
セントロンの長でもあるリラ議長はアルチクラソン役の交代をルーラ大統領に申し入れている。同議長は議会再開前、議会との合意不履行の責任はパジーリャ氏にあり、人事の交代がなければ、2024年の議会での審議は進まないと強い口調で迫っていた。また、リラ議長が政府関係者が出席するイベントに出席しないことも不満の表れと理解されている。
だが、大統領はパジーリャ氏の交代を認めなかった。この件に関しては、連邦政府関係者もパジーリャ氏と連邦議会との間の気まずさを認めているが、パジーリャ氏を切っても短期的な解決にしかならないし、この対立が連邦議会との仲を引き裂くには至らないと判断している。
また、連邦政府側は、パジーリャ氏と議会がうまくいかない場合も、ハダジ氏やルイ・コスタ官房長官(PT)、さらにPT下院リーダーのジョゼ・ギマリャンエス下議など、代わりに話をする人材ならいるとの楽観的な見方をしている。
その一方、ジェラルド・アルキミン副大統領のブラジル社会党(PSB)が5日、下院内のリラ議長のグループから離脱すると発表し、大きな波紋を招いている。リラ議長の下院グループ、通称ブロコンは176人と議会内最大勢力を誇っているが、セントロン勢力が大勢を占める中、PSBは連邦政府側から参加していた貴重なグループだったためだ。
詳しい理由は正式には明かされていないが、この背後には来年に控えているリラ氏の後任議長選挙の存在があるとされている。現在のところ、後任候補にはマルコス・ペレイラ下議(共和者)やエルマール・ナシメント下議(ウニオン)の名前が挙がっているが、そこにアントニオ・ブリット下議(社会民主党・PSD)の存在が浮上している。
ブリット氏はセントロンのPSD所属だが、連邦政府と強いつながりがあり、黒人や少数派にも理解があると評価されている。加えて、2016年のジウマ大統領罷免の際に反対票を投じたことでも知られている。
下院の左派の中には、ここ最近のリラ議長の態度を快く思わない議員が少なくなく、次期議長選に向けて動き始めているという。