米国の選挙と金利が今後の鍵=ブラジル経済政策に多大な影響

16日付ヴァロール紙(1)によると、米国大統領選挙と連邦準備制度理事会(FRB)の利下げサイクル開始という、今年後半に米国で行われる二つが今後のブラジルの経済政策に大きな影響を与える可能性があるという。
昨日ニューヨークで開催された「ヴァロール・エコノミコ・ブラジル・アメリカ・サミット」では、ブラジルと米国の両国の経営者、当局者、専門家が集まり、課題とビジネスチャンスについて議論した。
「ブラジルは世界で5本の指に入る貿易収支を持ち、インフレ対策にも熱心だが、為替レートの問題を抱えている。クリーンエネルギーへの取り組みを行ない、他国との差別化を図っているにもかかわらず、米国を含む外国からの投資が十分ではない」とグローボ出版の最高経営責任者(CEO)フレデリッキ・カシャール氏は指摘した。
財務省のダリオ・ドゥリガン事務局長は歳入回復の取り組みに加え、財政面でも支出を抑える努力が必要であるとし、政治的な歳出削減の努力に限界が生じる可能性を指摘し、「国内の政治的偏向に配慮しながら慎重に行わなければならない」と述べた。
中銀のガブリエル・ガリポロ金融政策局長は基本金利に関して、中銀通貨政策委員会(Copom)で今回は賛否が分かれて市場参加者に疑念を抱かせる結果となったが、悪化するインフレ率の上昇に対処するためより保守的な共通戦略を中心に結束を強めることを示唆した。
政府はリオ・グランデ・ド・スル州の緊急救援とインフラ再建のために財源を動員する必要性に直面しており、この懸念はイベント参加者の大半から表明され、同州援助の重要性が強調された。
米州開発銀行(IDB)のイラン・ゴールドファイン総裁は政府と連携し、同州を救済する55億レの支援パッケージを立ち上げることを検討しており、「この新しい現実を念頭に再建に弾力性を持たなければならない」と述べた。
FRBによる金融緩和の開始は延期され続けており、米財務省による公共債務の増加に伴い、国際金利に圧力をかけ、新興経済国への資本供給を制限している。元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏は「私は12月まで利下げはないと思うし、それが正しい判断だ」と述べた。同氏は、今年ドナルド・トランプ氏が再選した場合、FRBトップになることが有力視されている一人だ。
米国選挙は政治的分極化を深め、世界の他の地域にも同様の影響を及ぼし、地政学的な分断が進むなかで保護主義的な措置を強化する可能性が高い。政治的な二極化は米国における財政赤字解消に関する合意形成に課題をもたらし、2008年の金融危機以降、公的債務が増加し続けたことで、FRBが高金利をより長い期間維持する見通しになっている。
ウォーシュ氏は、米国のインフレ高進の原因は、バイデン政権下の強力な財政拡張にあると同時に、物価上昇は一時的なものに過ぎないと考えたFRBの金融政策運営の誤りにあると指摘し、「インフレが大きくなればなるほど米国や世界中の貧困層への逆進性が高まる。米国は責任ある財政・金融政策をとる義務がある」と述べた。
先週のCopom会議で賛否が分かれた投票後、ガリポロ氏は初めて公の場で発言した。0・25%の利下げも検討したことがあり、その決定に対する多数派の主張にも同意すると緊張を和らげる発言をした。