「空飛ぶ車」購入に780人の列=26年から運用開始か

ブラジルは電動垂直離着陸機(eVTOL)「空飛ぶ車」の世界的な主要市場の一つになりそうだ。サンパウロ市で21〜23日の日程で開催された「第2回エキスポeVTOL」を主催するムンド・ジェオ社調査では、すでに世界中で1万台以上のモデルが注文されている。ブラジルは、米国と中国に次いで3番目に大きな市場であり、既に780台の注文が入っていると22日付オ・グローボ(1)が報じた。
同見本市では、少なくとも2社のブラジル企業が旅客輸送モデルを発表。出展企業のひとつGohobby社は、中国市場で事業展開する中国企業EHang社のブラジルにおける販売代理店で、eVTOLはすでに中国で運用開始されている。ブラジルでは民間航空監督庁(Anac)とブラジル領空を管理する領空管理局(Decea)から運用テストが許可されている。
同ブランドの車両価格は51万米ドル(約8100万円)で、約1千回の充電に耐えられる12個のバッテリーモジュール用の充電器が付属され、交換は約4千米ドルで対応可能だ。充電時間は25分、航続距離は直線距離で30km、1回の走行にかかる費用は3ドルにも満たないと見積もられている。
Gohobby社のeVTOL部門のテクニカルセールスマネージャーであるジェオヴァン・ペレイラ・デ・アレンカール氏は、「操縦士のいない航空機に人々が驚くのは自然だ。かつてはエレベーターも怖がられた。同じことが空飛ぶ車でも起るだろう」と述べている。同社は予約の際に前払い金6万レアル(約182万円)を徴収しているが、リストにはすでに個人や企業を含む15人の登録者がいる。
同セクターの運用ルールについては、現在Anacが策定中だが、2026年には車両が国内で使用可能になると予想されている。
Anacの耐空監督ロベルト・オノラト氏によれば、3つの企業が国内での試験段階を開始するために審査を待っている。他3社はすでに試験を通過し、製品使用のための承認を待っている。小型機は通常3年で許可され、大型機の場合、期間は多少長くなる傾向があり、平均で5年だ。
同見本市に出展したVertical Connec社は、完全自律型で走行する「ジェネシスX1」を発表した。このモデルは4人乗りで、約120kmを45〜50分で移動できる。着陸半径はわずか4平方メートルとどこでも着陸でき、ショッピングモールや大学などの都市部での移動に焦点を当てている。同車両は現在Anacの承認待ちだ。価格は200万〜220万レアル(約6700万円)と推定。購入意向書はすでに10通交わされている。同社は「ジェネシスX1」が2025~26年の間に飛行を開始すると予測している。
Vertical Connec社は、農園で製品を散布するために設計されたモデルを発表した。同社によると1時間の飛行コストは17レアルで、現在この目的に使用されている機械コストは1時間あたり2500~3800レアルだという。この機種は7月から稼働する予定で販売価格は120万レアルに達する可能性がある。
Moya社も航空機モデルを発表し、主に物流に使用されるが、農業関連企業が種子の散布なども想定している。同社の車両は最大200kgまでの積載量があり、価格は140万米ドルだ。85以上の運用テストが実施され、このモデルは水平方向と垂直方向の両方で機能する。
目標は2026年にAnacの認定を受け、2027年に運用を開始することだ。「この航空機は、陸上交通よりもはるかに効率的な構造を持ち、ヘリコプターと比較して運用コストが5倍安い」と同社の最高経営責任者のアレシャンドレ・ザラメラ氏は説明した。