サンパウロ州=警察官の意図で作動オフ=軍察制服カメラ新調で物議

サンパウロ州政府は22日、軍警の制服に装着するボディカメラ1万2千台の契約のための入札規定を発表したが、規定によると、ボディカメラによるビデオの録画は軍警自身がスタートさせる必要があるため、事件を録画するか否かの選択は軍警の責任となるという。同日付G1サイト(1)が報じている。
サンパウロ州政府は1万2千台のボディカメラの利用契約を結ぶ意向だが、新しい契約では、装着されているカメラで録画するか否かは軍警の意思で決められるため、警察官の行動が終始追えなくなる可能性があり、しばしば問題となっている警察官による暴力の監視ができにくくなる恐れがある。
現在使われているカメラは1万125台で、録画内容は、警察官の意思に関わらず、24時間にわたり警察官の行動を録画し、90日間保存する日常的なものと、意図的に録画し、1年間保存するものがある。
州政府は新規契約分のカメラに関し、「テクノロジーの性能向上」を採用の理由にしている。それによると、新しいカメラは画質が良く、逃走者や盗まれた車などのナンバープレートの識別などが容易になるという。だが、規定では日常的な録画について何も定めておらず、意図的な録画のみとなる可能性がある。
ジェツリオ・ヴァルガス財団の調査によると、2023年は軍警が24時間監視型のカメラを使用していたことで、警察官による殺人が57%減ったというデータも出ている。
サンパウロ総合大学で暴力を研究しているダニエル・エルデル教授はこの変更を恐れ、「タルシジオ・デ・フレイタス知事とギリェルメ・デリッテ保安局長がやっていることは、カメラの性能を高めることではなく、機能を別のものに取り替えただけだ」と批判している。
サンパウロ州政府はデリッテ保安局長の就任以降、海岸部での軍警捜査での警察官の暴力で人権機関から告発されるなどの問題を抱えている。