RS州大水害=先週末から再び強風雨=空軍基地が民間機受入れ

【既報関連】4月末からの豪雨によって広範囲で被害が出たリオ・グランデ・ド・スル(RS)州では、週末も雨が続いた上、27日は強雨、28日は強風との予報が出るなど、困難な状況が続いているが、一方では、カノアス市の空軍基地での民間機発着が始まるなど、新しい動きも出ている。
最初の豪雨は4月28日~5月5日に降り、早い時期に洪水が起き始めた所ではほぼ1カ月間、水に覆われた状態が続いている。24日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)によると、ポルト・アレグレ市でも、24日にグアイバ湖の水位が再び4メートルを超え、土嚢で抑えなければならない水門がある、排水ポンプは機能しないなど、被害が長期化。市中央部では25日振りに停電が解決した地区がある一方、市北部は今も道路の冠水が続いている。また、25日付アジェンシア・ブラジル(6)によると、市北部では25日に水道管の破裂も起き、14地区が断水となっている。
断続的に続く強雨は各地で、やっと乾いた道路や建物内部でも冠水や浸水が再発という悪循環を招いている(25日付G1サイト(7)も参照)。また、飽和状態となった土壌は雨を吸い込めず、僅かな雨でも洪水や土砂崩れを起こし得る。
洪水被害が深刻なのは、パトス湖の水位上昇などでサンゴンサロ水路の水位が史上最高を再更新したペロタスなどだ(26日付METSULサイト(8)参照)。27日付アジェンシア・ブラジル(9)などによると、27日は州南部や北部、ポルト・アレグレ大都市圏などで10ミリ前後の雨、28日は海岸部などで時速約100キロの風、冷え込みも続くとの予報が出ている。
これもあり、27~28日は複数の市が市内全校を休みとした。授業日数不足や教職員が揃わないなどは、同州が直面している問題の一つだ。避難所にいる人達に就労を命じ、労働検察に訴えられる企業も出ている(21日付CNNブラジルなど(10)(11)(12)(13)参照)。
ポルト・アレグレ市サルガド・フィーリョ空港の機能停止や高速道をはじめとする幹線道寸断も公共交通や物流を阻害しているが、27日付アジェンシア・ブラジルなど(14)(15)によると、27日からはカノアス空軍基地でも支援物資の輸送目的以外の民間機受け入れを開始。州内7空港とサンタカタリーナ州の2空港を使った116の緊急便の運行が始まれば、人や物の動きも容易になる。
24日付アジェンシア・ブラジルなど(16)(17)(18)によると、ポルト・アレグレの洪水拡大の原因の一つは、排水ポンプの保守作業の不徹底も含む緊急事態への備えの不備で、地滑りのリスクがある地域の開発や住宅建設も含めた人災との批判もある。また、被災者の多くは黒人や褐色を中心とする低所得者であることを人種差別と批判する声も出ている。
被害の全容把握は困難だが、24日付アジェンシア・ブラジル(19)によれば、同日は保険業界が、2万3441件の要請に応じており、見積賠償額は16・7億レ超と発表。保険業界の支出増大は間違いなく、2019年のミナス州ブルマジーニョでの鉱滓ダム崩壊事故の賠償額を超える見込みだ。
27日付同州政府公式サイト(20)によれば、27日現在の死者は169人、行方不明者は56人、被災市は469、被災者は234万5400人、避難所収容者は5万5813人、親戚宅などにいる人は58万1638人となっている。
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