ブラジル南部海域で磁気異常拡大=通信不調や衛星故障の原因に

25日付CNNブラジルなど(1)(2)によると、ブラジル南部と南東部にまたがる南大西洋海域で磁気異常が拡大しており、通信や衛星システムに悪影響を与えている。これは米国政府が今年発表した最新報告で明らかにされたもので、この南大西洋磁気異常(SAA)は、地球を取り囲む磁気圏が最も弱い南大西洋に位置し、科学者や宇宙期間によって監視されている。
「この異常は西へ移動しながら拡大し続けており、人工衛星への放射線障害が最も起こりやすい領域に近づいている」と報告書に述べられている。
地球には、宇宙線からの荷電粒子が大気を通過して地表に到達するのを防ぐ、一種のシールドとして機能する地磁気がある。この磁気圏は、主に地球の磁気極周りに位置する二つの帯状の領域、すなわちヴァン・アレン帯と呼ばれる領域で構成されている。
これらの帯は、螺旋状に配置されており、有害なエネルギーを地球から遠ざける役割を果たしているが、特定の地域ではこの磁場が変化し、無線通信、GPSナビゲーション・システム、人工衛星に影響を与える。その地域の一つがブラジルを通過している。
収集された情報では、この異常は、過剰な放射線による衛星への潜在的なダメージから、電波伝搬の妨害に至るまで、様々な影響を引き起こす可能性がある。ブラジルの南と南東に位置する地球の磁気保護に遅れが生じているという。専門家によれば、この異常現象は数十年後には南米全域に達し、太平洋に達する可能性もあるという。
SAAは欧州宇宙機関(ESA)や米航空宇宙局(NASA)などの宇宙機関によって注意深く監視されており、最近ではブラジルがこのミッションに関連して、超小型衛星NanosatC―BR2をロシアの宇宙機関と共同で打ち上げた。
物理学博士で国立天文台の研究者のマルセル・ノゲイラ氏は、「宇宙機関がこの異変に関心を持つのは、この領域は磁場が弱いため、太陽風の粒子がこの領域に入りやすく、この領域を通過する荷電粒子の流れがより激しくなるからだ」と指摘。
その上で、「私たちがすでに理解している結果のひとつは、地球を周回する人工衛星の性能への影響だ。保護が低い地域を通過すると、宇宙放射線の流れに起因する故障に見舞われる可能性がある。衛星がこの領域を通過するとき、衛星の損失や機器の焼損を防ぐために、特定の部品の電源を一時的に切り、スタンバイ状態にしなければならないことがある」という。
ブラジル国内には、リオ州のヴァッソウラス市とアマゾン地域のタトゥオカ島に二つの磁気観測所があり、この異常に関する研究に集中している。ノゲイラ氏は「日常生活において、私たちはテクノロジーに依存しており、どの国の電力システムでも停電が起きれば数百万ドル、数十億ドルの損失が発生する。今日の私たちの技術生活にとってこれは非常に重要だ」と語った。
またNASAによる調査では、2020〜24年の間にSAAが7%増加していることを確認しており、西に向かって増加しているだけでなく、強度が弱まり2つに分裂していると公表されている。