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サンパウロ州知事=カサビ守って左右両立=不満抱くボルソナロ派=独特の政治バランス感覚

2024年6月11日

カサビ氏(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)
カサビ氏(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 サンパウロ州政府のリーダーを務める社会民主党(PSD)党首のジルベルト・カサビ氏に不満を抱いたことで、ボルソナロ前大統領(自由党・PL)派が反旗を翻し、タルシジオ・デ・フレイタス・サンパウロ州知事(共和者・RP)がなだめる事態が起きている。(1)
 8日付フォーリャ紙は、タルシジオ知事がボルソナロ派のPL州議4人と行ったとされる会議について報じている。この会議が開かれたのは、サンパウロ州議会がサンパウロ州水道公社(Sabesp)の民営化に向けた投票を控えた時期、つまり昨年12月とされている。 呼ばれた州議は、ルーカス・ボーヴェ氏、テネンテ・コインブラ氏、ジル・ジニス氏、マジョール・メッカ氏の4人だ。この4人はボルソナロ氏と共にカサビ氏に対する強い不満を公言していた。
 これらの州議の不満は、カサビ氏を州政府のリーダーとして受け入れられないということだった。同氏のPSDはルーラ大統領の連邦政府に3人の閣僚を出しており、カサビ氏自身もボルソナロ氏に対する批判を繰り返し行っていた。
 タルシジオ知事はこの時、カサビ氏を代える意向がないことを州議らに伝えている。カサビ氏は州議や市長との調整役を務めており、タルシジオ政権には欠かせない存在と見られている。カサビ氏が就任以降、民主社会党(PSDB)の内部分裂があり、同党の市長が大量にPSD入りして勢力も強めていた。
 ボルソナロ氏は大統領の時から、パンデミックの際に連立政党にも入っていたPSDのオットー・アレンカール上議らが議会調査委員会(CPI)を自身に不利な方向に導いたことなどで、同党に不満を抱いていた。さらに、23年1月8日の三権中枢施設襲撃事件の際もエリジアネ・ガマ上議が同件のCPIで同様の動きを見せたことを不満としていた。
 さらに昨年末、自身とかねてから対立していた前法相のフラヴィオ・ジノ氏が最高裁判事に指名され、上院で承認審議が行われた際、PSDが反対することなく受け入れたことにボルソナロ氏は強く立腹している。タルシジオ知事とサンパウロ州議との会議も、その時期に起きたものだ。ボルソナロ氏は今年に入ってからもしばしば、カサビ氏に対する批判を繰り返している。
 また、タルシジオ氏とPL党首のヴァルデマール・コスタ氏との間も不仲が囁かれている。それは、タルシジオ氏がジウマ政権で全国輸送インフラ局(Dnit)の局長を務めていた際、ヴァルデマール氏と個人的に親しかった勢力を多く解雇したためだ。
 そのため、22年のサンパウロ州知事選では、ヴァルデマール氏はボルソナロ氏の推すタルシジオ氏ではなく、対立候補のロドリゴ・ガルシア氏を応援している。
 一方、この時の選挙でカサビ氏は大統領選ではルーラ氏、サンパウロ州知事選ではタルシジオ氏を支持している。カサビ氏はジウマ政権で都市相も務めておりあり、今年のリオ市長選でもPSDのルーラ派であるエドゥアルド・パエス市長の再選を支援している。
 タルシジオ氏は最近行われたインタビューで、ルーラ氏の後継者だったジウマ氏のことを「責任感の強い方」「自分を指名していただいて感謝している」と語る一方、「自分は永遠にボルソナロ主義者だ」と語っている(2)(3)


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