魚の皮を包帯にして傷口治療=コラーゲン豊富なティラピア

リオ・グランデ・ド・スル(RS)州大水害で負傷した動物の治療に、川魚「ティラピア」の皮から作られた医療用傷パッド(生物学的包帯)の使用が開始されることで注目を集めている。北東部のセアラ連邦大学(UFC)が開発したこのパッドは、傷口を覆ったまま長く密着して交換回数を減らし、動物の体液損失を防ぐ。ティラピアの皮はコラーゲンを豊富に含み、損傷部分の再生を促進し治癒を早めることが期待されている。13日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。
UFCではこの研究を2015年から行なっており、ティラピアの皮を医療用に加工する技術について、2023年1月に国家工業所有権院(INPI)から特許を取得した。
水中で長時間過ごす中で負傷した馬を対象に治療がスタートされる。同大学は今月3日、第一弾として300枚をRS州に発送し、そこから州都ポルト・アレグレ市近郊のノヴァ・サンタリタ市に送られた。UFCでは新たに300枚のパッドを送付する準備が進められている。
RS州に到着する前に、この医療用パッドはサンパウロ市内のエネルギー・核研究所(Ipen)で放射線滅菌処理される。これは皮の耐久性を3年まで高め、常温での保存を可能にする。
ティラピアの皮はコラーゲン濃度が高く、治癒プロセスに好都合で、10〜12日間、動物の皮膚に貼ったままにしておくことができるため、日々の交換や体液の損失を防ぎ、感染症からも保護することができる。
同研究のコーディネーターで形成外科医のエジマール・マシエル氏は「このような悲劇的な状況時に、傷ついた動物達の苦痛を軽減するために製品が使用され、彼らの健康と安全に貢献できることは非常に喜ばしいことです」と述べた。
UFCで同研究が始まった2015年当初、この医療用パッドは主に火傷の治療に使用され、2020年にはパンタナール(熱帯性湿地)の火災で負傷した動物にこの技術が適用された。
今では同技術はブラジル国内のみならず外国にも輸出されている。2018年、米国カリフォルニア州の研究者たちは、火傷を負ったクマやピューマの治療にティラピアの皮を使用した。
この技術はまた、婦人科手術や骨盤がん患者、ロキタンスキー症候群(子宮と腟の一部、もしくは全部が欠損して生まれる先天性の疾患)の女性の膣再建手術にも応用され、成功を収めている。
さらにUFCによれば、魚の膜はすでに潰瘍の治療、腹部ヘルニア手術、心臓病学、腎臓病学、耳鼻咽喉科、内視鏡などのさまざまな医療分野で使用されているという。