site.title

東洋街下町に多言語ラジオ局=移民・難民向けに24時間放送

2024年7月3日

「ミグランテス・ウェビ・ラジオ」設立者のミゲル・アウマダ氏(1日付テラ・サイトの記事の一部)
「ミグランテス・ウェビ・ラジオ」設立者のミゲル・アウマダ氏(1日付テラ・サイトの記事の一部)

 サンパウロ市セントロに位置するリベルダーデ区(東洋街)下町グリセリオ地区には、移民や難民を対象とした24時間放送ラジオ局(https://radiomigrantes.net/)がある。南米チリの元独裁者ピノチェト政権から逃れてきたミゲル・アウマダ氏によって運営されており、多言語で番組が提供されている。多くの外国人が集まる場所で、同ラジオ局は彼らの文化や情報を広める役割を果たしている。6月25日付テラ・サイト(1)が報じた。
 同地域は19世紀以来、セントロに位置しながらも旧市街特有の衰退や疎外された周縁的な人々が集まる特徴を持っていた。ここにスタジオを構える「ミグランテス・ウェビ・ラジオ」は、母国語を聞きたい外国人にとって24時間にアクセスできる貴重な情報源だ。
 同局設立者で放送作家ミゲル・アウマダ氏は、母国のサンティアゴ大学でジャーナリズムを学び、30年以上前にスーツケースひとつで単身ブラジルに移住した。「サンパウロという広大な世界を見ても何も理解できなかった。当時は移民もあまり来ていなかった」と彼は振り返る。
 自分の人生を確立するために、彼はグリセリオ地区にたどり着いた。当時も今と変わらず、汚れた通りには麻薬中毒者があふれ、建物の老朽化が目立っていた。東洋街として知られる観光地リベルダーデ地区の下町に位置し、南米最大級の教会、メトロポリタン大聖堂があるセー地区にも隣接する。
 19世紀、サントス港から降り立った外国人たちは黒人が多く住むセー地区、カルモ地区、グリセリオ地区に到着した。現在ではアンゴラやコンゴ、モロッコなど他のアフリカ諸国からの移民が大半を占めている。
 ミゲル氏は30年間同地区に在住する。彼の拠点は平和の聖母教会(Igreja Nossa Senhora da Paz)で、同時に移民や難民を収容可能な9千平米の巨大複合施設となっている。その一角にラジオのスタジオがある。
 カメラ、音響机、共同テーブルなどスタジオの設備は15平方メートルも満たない。教会内には移民向けの学習コース、図書館、ブラジルでの公的書類を取得するための手続き支援もある。
 ミゲル氏は司祭の協力を得てラジオ局を設立。24時間の放送を維持することは容易ではないが、彼の信条「政府の援助は受けず、必要ともしない」に従い、全ての運営は自力で行われている。ここでは30カ国以上の人々やテーマが取り上げられている。
 番組は世界中から多様なプログラムを提供し、番組内容はリスナーによって決まる。コンテンツはバチカン放送やラテンアメリカ大衆教育コミュニケーション協会など様々なパートナーシップからも提供されている。ワッツアップ経由で提供され、ポルトガル語のほか、スペイン語、英語、フランス語、イタリア語の番組もある。日曜日に教会で行われる3カ国語のミサ(ポルトガル語、イタリア語、フィリピン英語)も生放送される。
 サンパウロ移民観測所のデータによると、2024年3月までにサンパウロ市に入国・登録した外国人は2866人で、その大半はボリビア人(813人)、次いでアンゴラ人(367人)、中国人(227人)だった。
 ミゲル氏は外国人がグリセリオに集中する現実を熟知しており、「ここはサンパウロ市にあるもう一つの町だ」と語っている。


ペルー治安悪化で盗難増加=国民10人に1人が被害に前の記事 ペルー治安悪化で盗難増加=国民10人に1人が被害に英国でブラジル人女性刑務官逮捕=受刑者との性行為動画投稿で次の記事英国でブラジル人女性刑務官逮捕=受刑者との性行為動画投稿で
Loading...