リオに新証券取引所を開設=来年稼働、B3のライバルに

新しい証券取引所の本拠地として、リオ市が正式に選ばれた。新取引所はサンパウロ証券市場(B3)に匹敵し、ブラジル金融市場における競争拡大と取引コストの引き下げを目指しており、2025年末に運営を開始する予定だと、3日付ヴァロール紙など(1)(2)が報じた。
これは電子取引に特化した企業「アメリカス・トレーディング・グループ(ATG)」が10年がかりで進めてきたプロジェクトの成果で、3日にリオ商業協会(ACRJ)で行われた発表イベントには、同社のクラウディオ・プラコウニクCEO(最高経営責任者)やリオ市のエドゥアルド・パエス市長(社会民主党・PSD)、資金提供を行うアラブ首長国連邦の投資ファンド「ムバダラ・キャピタル」の代表者などが参加した。
プラコウニク氏によると、有価証券取引委員会(CVM)と中央銀行(BC)の認可は経ており、12月までに規制当局がテストできるシステムが完成する予定だという。
同氏はまた、ATGはこの10年間、「証券取引所の独占を打ち破り、競争を激化させようとしてきた」と強調。「競争は効率をもたらし、投資につながる。外国に目を向けると、ブラジルにはシステミック・リスク(個別の金融機関の支払い不能等や一部の市場または決済システム等の機能不全が、他の金融機関や他の市場、または金融システム全体に波及するリスク)が存在する。新しい証券取引所を導入することで、リスクを軽減させ、価格を下げることができる」と述べた。
ATGは2023年初めにムバダラ・キャピタルに買収され、新取引所のプロジェクトリーダーとして、投資会社のアゴラとジェニアルで活躍した経験のあるプラコウニク氏を招聘した。かつてはブラジルで最も重要な証券取引所だったリオ証券取引所(BVRJ)は、投資家ナジ・ナハス氏が関与した投機事件で崩壊。2000年代初めに起きたB3への事業移管後、02年に閉鎖された。
新取引所の初期段階では、株式と投資信託を計画している。ATGの目的はブラジル市場の取引量を増やすことで、その後、デリバティブ市場や外国為替市場に進出する計画だ。
パエス市長は、新取引所はブラジルに競争力をもたらし、リオ市の経済再生にも寄与するとしている。また、「競争を生み出し、コストを削減する。我々にできることは減税だが、コスト削減のためにできることがあれば、何でもするつもりだ」と述べ、誘致のために金融市場にかかる税金をサンパウロ市と同水準にする条例に署名したことを明らかにした。この条例では、証券取引所が実施する活動、および清算・決済機関の役割を果たす企業が実施する活動に対して課されるサービス税(ISS)の税率を2%と定めた。
シコン・ブリョイス・リオ市経済開発局長によると、現在の同市では証券取引所が運営されていないため、税制変更による歳入の損失はない。従って、税率を5%から2%に引き下げても市の収入になるという。
新取引所が入るビルはまだ見つかっていない。複数の市議は、市中心部にあり、かつて自動車クラブがあった建物を使うことを提案している。しかし、最終的な決定はATGが下すことになる。
B3は同件に関する問い合わせを受け、「競争は様々な事業分野で日常的に対処している現実」とし、「金融資産の登録や公私の債券取引等では、常に競合他社と競っている。また、当地企業には外国で株式上場する選択肢もあり、国際的な取引所との競争も考慮する必要がある」と述べた。また、「市場での我々の地位は、ブラジル市場の成長を支えるための安全で強固なインフラ提供のための技術投資と、取引やサービス提供のための基盤となるプラットフォームやシステムの近代化の結果である」と主張した。