ドルは5・6レ以上で推移=円キャリートレードは解消

外国人投資家によるブラジル通貨レアルに対するドルの買いポジションが766・4億ドルに達し、6月末の816億ドルに接近している。これは、外部市場でのリスク回避による現地為替レートへの圧力や円高による「キャリートレード」解消が影響している。ドルは円に対して下落し、レアルに対しては上昇していると、7月31日付ヴァロール紙(1)が報じた。
サンパウロ証券市場(B3)のデータによると、ブラジル通貨の下落を起こしたデリバティブを通じた売りポジションは、過去5営業日で37億米ドル増加した後、月曜日に766億4千万米ドルに達した。この取引を主に構成するのは、金融機関や機関投資家が保有するエクスポージャー(リスクにさらされている資産の割合)であるドルミニ契約、ドル先物、為替スワップ、為替クーポン(DDI)などだ。
その結果、外国人投資家のレアル売りのポジションの増加は、6月末に記録した史上最高値の819億ドルに再び接近している。これは、ドル高という強い外部環境と、国内資産の重荷となっている財政政策に対する根強い不確実性を反映していると、専門家らは指摘する。
彼らによると、外国人によるレアルに対する賭けの増加は異なる国の金利差を利用して利益を得る「キャリートレード取引」の解消を反映しているという。これによる影響は、レアルやメキシコペソなどの新興国通貨にも及ぶ。先週は強い円高により、一部の市場参加者が円に対するレアルおよびメキシコペソの上昇を見越していたポジションを解消した。ドルは対円で2・34%下落し、レアルに対しては0・96%上昇した。
世界的な金融当局の対ドル相場に対する悲観的な見方にもかかわらず、レアルは昨日、2日連続で対ドルでプラスに転じた。これは6月の全就労・失業者台帳(Caged)のデータが予想を上回ったことに支えられたもので、投資家は米連邦準備制度理事会(FRB)とブラジル中銀の金融政策決定会合を前にポジションを調整している最中だという。
同指標はブラジルの経済活動が加熱していることを示唆しており、その結果、インフレ率も予想以上に上昇する可能性があるため、ブラジル中銀はより厳格な政策を取るか、近い将来に経済基本金利(Selic)を引き上げざるを得なくなる可能性がある。金利の曲線は、そのような将来の金利変動の可能性をすでに織り込んでいる。
そのため、ドルは5・6627~5・6092レの間で変動した後、前日比で0・15%安の5・6173レで取引を終えた。商業ユーロは0・26%下落し、6・0727レとなった。
UBS BBのストラテジストは、財政政策が大きく悪化しない限り、レアルの回復を支える要因は少ないと考えており、中銀通貨政策委員会(Copom)が年末までに1%ポイントの利上げを実施する可能性は低いとみている。ただし、レアルは「過小評価されている」とし、最近の通貨下落後ではポジショニングが軽くなっていると評価している。
また、FRBの金利引き下げが近づいているという見通しがあっても、米大統領選が迫る中、世界的なドル安環境は実現しない可能性があるという。「安価で控えめなポジションにもかかわらず、弱いキャリートレードにより、今後の財政的および政治的リスクに対して為替をより脆弱にする。我々はブラジルの為替よりも金利を重視する」と述べ、レアルに対するキャリートレード解消が、自国通貨の脆弱性を示す要因の一つだと指摘した。
一方、JPモルガンのストラテジストは、少なくとも円からの圧力は今後軽減すると見ている。同行のレポートによれば、レアルとメキシコペソは過剰な減価を経験し、近く調整が行われるはずだと指摘した。彼らによれば、市場はまだ円のショート・ポジションを大量に抱えているが、キャリートレード戦略の解消を通じたラ米諸国の通貨調整は、大部分が完了したという。
同レポートの中では、「ポジショニングの観点から、レアルはすでにかなり脆弱性が減少している。我々のテクニカル指数『JPM BRL』は6月から中立領域にあり、現在はわずかに売りポジションに偏っている。これにより、技術的な観点から見たレアルは非常に脆弱な状態から脱していると言える」と説明している。