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Selic=10・5%で据え置き=インフレ懸念で利上げも

2024年8月2日

中央銀行(Foto:Marcello Casal Jr./Agência Brasil)
中央銀行(Foto:Marcello Casal Jr./Agência Brasil)

 中銀通貨政策委員会(Copom)は7月31日、経済基本金利(Selic)を年10・5%で据え置くことを全会一致で決定した。これは、2023年8月から続いた利下げサイクルに終止符を打った6月19日の前回会合同様の決定で、これにより、ブラジルはトルコ、ロシアに続く、世界で3番目に高い実質金利を持つ国のままと、同日付カルタ・カピタルなど(1)(2)が報じた。
 コンサルティング会社MoneYouによると、インフレ率を差し引いた実質金利で1位となったのはトルコの12・13%で、ロシアの7・55%、ブラジルの7・36%を上回った。以下、メキシコ6・24%、南アフリカ3・89%、インドネシア3・61%、香港2・83%、イタリア2・44%、英国2・39%、フィリピン2・37%と続く。
 中銀は金利維持の理由として、米国の利下げ時期が不透明という「不利な外部環境」や「各国の経済活動とインフレの動向」を挙げた。また、国内の状況については、「経済活動と労働市場の指標が予想以上に動的な成長を示している」と評価した。
 同行は会合後に出した声明で、「金融政策は、インフレ解消プロセスを強固にし、目標に対する期待の安定を図るために、適切な水準で十分な期間維持されるべき」とし、「当委員会は警戒を続けており、今後の金利調整はインフレ目標への収束に対する確固たるコミットメントに基づいて行われることを確認する」と述べており、基本金利引き上げの可能性を排除しなかった。
 B.Sideインヴェスチメントスのチーフエコノミスト、エレナ・ヴェロネーゼ氏によると、Copomがより厳しいトーンの声明を発表したことは、インフレ解消プロセスの鈍化とインフレ率が依然として目標を上回っていることを示しているという。
 Copomは、2024年と25年のインフレ率を中央値に戻す可能性を放棄し、目標達成は26年第一四半期となる可能性を新たに示した。リスクのバランスに関しては、これまでの二つずつのリスク提示から、インフレに対する上昇リスク三つと低下リスク二つを挙げる形に変更。特に、内外の経済政策がインフレに与える影響が新たに加えられた。
 また、レアルの価値下落に対する懸念を強調し、政府債務に対する市場の認識が資産価格に影響を与えており、財政政策の整合性がインフレの安定に寄与するとの見方を示した。
 今後の金利調整はインフレ収束に基づくとし、Selic引き上げも排除していない。インフレ解消プロセスとインフレの安定化を見るまでは金利は引き締め的に維持されるとの見解も示している。
 ヴェロネーゼ氏は今後注視すべき点として、米国の金融政策とその為替への影響、国内の財政政策と予測の不安定化への影響を挙げ、「米国での金利引き下げの可能性が高まり、リスクが大幅に増加している現状では、Selicは24年末まで10・5%のまま据え置かれるだろう。見直しの有無は向こう数週間のいくつかの変数の動向による」という。
 Copomの会合は、ルーラ大統領がカンポス・ネット中銀総裁の発言について再び批判した直後に開かれた。ルーラ氏は7月26日に、「最近、中銀総裁が報道陣に対して信じられないような発言をした。最低賃金の引き上げや賃金の増加がインフレを引き起こす可能性があると言ったのだ。インフレを防ぐために、人々が低賃金で働く必要があるのか。このような発言は敬意を欠いている」と異議を唱えた。
 これは、6月にCNNブラジルに対してネット氏が、「心配なのは、(失業率が下がって)企業が賃上げを始めなければならなくなったときだ。 同じ生産水準で賃金を上げるということは、インフレが始まるということだ」と述べたことに言及したものだ。


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