三権会議=Pix割当金は継続で合意=4時間に及ぶ話し合いの末=支払いの透明性義務付ける

【既報関連】20日、連邦政府と連邦議会、最高裁の三権の代表者が集まり、別名「Pix割当金」とも呼ばれる、特定のプロジェクトとの関係が義務付けられていない議員割当金についての話し合いが行われた。最高裁は、透明性に関する基準が決まるまではPix割当金を含む議員割当金の支払いを差し止める判断を下していたが、4時間にもわたる議論の末、「透明性を高める」との約束でPix割当金も維持することで合意に至った。同日付G1サイト(1)などが報じている。
Pix割当金は、議員個人が特定の州や市に送るが、特定のプロジェクトとの関係が義務付けられていない。このため、別名「秘密予算」とも呼ばれ、2022年に最高裁の違憲判断で禁止された報告官割当金(予算案審議時の報告官の裁量で支払われていた割当金)同様、透明性の欠如が問題となっていた。
最高裁のフラヴィオ・ジノ判事は今月1日、Pix割当金の支払いは透明性が確認された場合のみ認められ、連邦統合内部統制局(CGU)による監査も義務付けるという司法判断を出した。ジノ判事は、14日も、透明性に関する基準が決まるまではその他の議員割当金の支払いも差し止める判断を下した。(2)
秘密予算は連邦政府が重要議案がある際に集中的に払い出されたが、与党議員に偏り、使途が不明なまま支給される例が目立った。そのため、ジノ判事はPix割当金について、「議員の選出州でのプロジェクト以外への使用は認めない」との判断を下した。
だが、この決定に議会側が強く反発。アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)は最高裁長官にこの決定への介入も求めたが、最高裁はこの要請を拒否した上、ジノ判事の判断を全体審理にかけた。全体投票は11対0の全会一致で、透明性が保証されない限り、Pix割当金の支払いを認めないというジノ氏の判断を支持した。
これに議会側は納得がいかず、それが20日の三権代表会議につながった。リラ下院議長は19日夜、ルーラ大統領(労働者党・PT)と事前の会談を行うほどの念の入れようだった。(3)
20日の会議はルイス・ロベルト・バローゾ最高裁長官が呼びかけた昼食会に続いて行われ、議会側からはリラ下院議長とロドリゴ・パシェコ上院議長(社会民主党・PSD)が参加。連邦政府からはルイ・コスタ官房長官(PT)とジョルジェ・メシアス連邦総弁護庁(AGU)長官が参加した。
この会議は非常に白熱したものとなったと報じられている。口調が特に激しかったのはリラ議長で、「マスコミや世間はこの会合に関しても、やれ2対1(2権対1権)だの14対2(会議の参加者)だのと言って、さも覆らないものかのようにいう。だが、私は513人もの下院議員の代表としてこの場に来ているのだ」と、議会の地位が低く見られていることに対する不満をぶちまけた。
議員割当金に関しては以前から、「議員は給与以外の手当を受け取っている上に、割当金で票を稼いでいる」などの批判が根強く、割当金が増えると汚職が疑われるような側面もあった。
また、リラ議長には、議会側には特に下院に保守派が多いにもかかわらず、最高裁判事にルーラ政権の法相だったジノ氏が就任するなど、三権のうち二権から抑えられているという不満があった。
ジノ判事はこの会議で、「バンカーダ(グループ)の割当金でラシャジーニャ(ピンハネ)を認めてはならない」との主張も繰り返した。また、コスタ官房長官もこれに続くなどしたため、議論がより白熱。バローゾ最高裁長官が調整役を請け負った。
パシェコ上院議長はこの会議後、「三権の間に合意が取れた」として、Pix割当金を存続させることが決まったと発表した。だが、支払いに関しては透明性を高めることが条件とされ、数日中にまとめられる予定の基準も、連邦会計検査院(TCU)への報告が義務付けられるなど、厳しい内容となりそうだ。