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〝台風の目〟マルサルは何者か=インフルエンサーから政治家へ

2024年8月22日

19日、ヴェージャ誌主催の討論会に参加したパブロ・マルサル氏(Foto: Antonio Milena / Fotos Publicas)
19日、ヴェージャ誌主催の討論会に参加したパブロ・マルサル氏(Foto: Antonio Milena / Fotos Publicas)

 サンパウロ市市長選に出馬しているパブロ・マルサル氏(労働刷新党・PRTB)は当初、勝つ見込みが低い「アザロン(Azarão)」と位置付けられていたが、既存候補への挑発を続ける中で注目が高まり〝台風の目〟になりつつある。インスタグラムに1286万人のフォロワーを持つ有名インフルエンサーで、それを投票者へと転換することを目指す。2022年には大統領候補として名乗りを上げたが、最終的には選挙活動が停止された過去を持つ。公的機関に特化した専門情報サイト「ジョッタ」16日付(1)が報じた。
 マルサル氏は、8日に行われた選挙キャンペーン初の討論会で、コカイン使用を仄めかすジェスチャー、聴衆に対する暴言や怒鳴り声などの悪態を見せ、注目を集めた。そのパフォーマンスは同日のグーグル検索でトップに立ち、ダッタフォーリャ最新世論調査ではマルサル氏は14%の支持率を得て、ダテナ氏と共に3位を占める。
 ゴイアニア州出身37歳のマルサル氏はライフコーチとして自己啓発活動を行ない、SNSで大成功を収めた。「ラテンアメリカ最大級のビジネスエコシステムの一つを形成する、19業種を手がける多国籍企業グループの最高事業構想経営責任者(CVO)」の肩書きを持つ。
 18日付テラ(2)によると彼は選挙高裁(TSE)に1億6950万3058・17レアル(約45億円)の資産を申告した。この金額は市長選の候補者10人の中で最も多い。
 同氏は2022年に政治の世界に足を踏み入れ、大統領候補として名乗りを上げたが、党は現職のルーラ支持を決定。結果的に彼は連邦下議に選出されたが、書類未提出のために立候補が拒否され、TSEによって活動停処分を受けた。
 彼は今回ジャイル・ボルソナロ前大統領に接近しようと努め、6月にはツーショット写真をSNSに投稿してアピール。だがボルソナロ氏はヌーネス氏を正式に支持した。
 マルサル氏はテレビ討論会をデジタルコンテンツの一部として利用し、放送から12時間以内に発言の切り抜き動画を30本投稿し、5700万回の再生数を稼いだ。
 マルサル氏は2022年にサンパウロ州マリンス山で、時速100キロを超える嵐の中で、32人のフォロワーを伴う探検を敢行し、消防による救助騒ぎを起こした。SNSの生配信で、彼は「誰にも登るよう指示しなかった」と述べ、参加者各自が自己責任であると主張。だが彼は殺人の疑いで警察に調査されている。
 他にも彼は18歳の時にオンライン銀行口座に侵入する犯罪組織に加担していたとして、2010年に4年5カ月の懲役刑を受けた。後に、連邦第1地域控訴裁判所で事件の時効が認められた。
 2023年5月に連邦警察の捜査対象となり、選挙における虚偽表示、選挙資金の不正流用、資金洗浄の疑いがかけられている。警察によれば、彼は22年の選挙活動に対して巨額寄付を行い、その一部が自身の会社に戻されたとされる。
 彼のウェブサイトには「チエテ川の浄化」「世界一高い建物の建設」「麻薬常用者の溜まり場『クラコランジア』の解決」「治安問題の解決」「起業家支援と企業での人材育成の推進」といった公約が挙げられているが、具体的な実行方法は不明だ。
 専門家は、マルサル氏の演説は新自由主義や新保守主義の要素を取り入れており、右派政治の刷新を謳っていると指摘。ポピュリズムを用い、洗練されていない言葉で「素朴な」印象を与えようとしているという。


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