site.title

中国の巨大投資期終わった?=ブラジル4位に後退、再エネに集中

2024年9月18日

ラテンアメリカにおける中国の投資先としてブラジルは4位に(16日付BBCブラジルの記事の一部)
ラテンアメリカにおける中国の投資先としてブラジルは4位に(16日付BBCブラジルの記事の一部)

 ブラジルは約10年間にわたり、ラテンアメリカにおける中国の主要投資先として君臨していたが、最近は過去5年間の累積投資額でチリ、ペルー、メキシコに次ぐ第4位に後退した。上位はいずれも太平洋側だ。専門家らは、この減少は中国の投資への関心喪失が原因ではなく、構造的な変化を示していると説明。中国企業は中国の開発計画に沿い、大規模プロジェクトから再生可能エネルギーや電気自動車といった小規模プロジェクトにシフトしているという。16日付BBCブラジル(1)が報じた。
 ブラジル・中国ビジネス評議会(CEBC)の報告書によると、2023年の中国の対ブラジル投資額は17億3千万ドルで、前年比で33%成長したが、09年以降で2番目に低い額だった。
 米国のシンクタンク「インター・アメリカン・ダイアログ」の報告書によると、2010〜19年の中国の対ラテンアメリカ投資額は平均142億ドルだったが、22年は64億ドルに減少している。
 だが、この状況は中国のラテンアメリカへの関心の欠如を意味するものではなく、「構造的変化」を示していると専門家らは説明する。中国企業は再生可能エネルギー、電気自動車、都市インフラなど、小規模なプロジェクトに移行しており、これは同国の開発計画と一致しているという。
 CEBCの報告書の作成者であるトゥリオ・カリエロ氏は、「小規模プロジェクトへの移行は中国投資の終焉を意味しない。一部の国では、エネルギー、鉱業、伝統的インフラに関する重要なプロジェクトが進行中だ」と説明。また、ブラジルにおける中国からの投資額減少は、為替変動にも起因すると指摘している。
 中国の対ブラジル投資額が130億ドルに達した2010年の平均レートは1ドル=1・76レアルだったが、20〜23年はレアル安が進み、1ドル=5・18レアルとなったため、投資額が減少したとされている。23年にブラジルで確認された中国プロジェクトは29件で、22年より9%減ったが、過去3番目に多い件数だ。発表されたプロジェクトの実現率も増加している。
 チリ国務大臣や駐中国チリ大使を歴任したホルヘ・エイネ氏は、ブラジルおよびラテンアメリカへの中国の投資は「新しい段階」に入り、再生可能エネルギーに焦点を当てていると説明。中国からの投資はこれまでもコモディティからインフラへと移行してきたが、現在はリチウムなどの再生可能エネルギーに重点を移ったという。
 2016年以降、チリが中国の投資先として1位に浮上したのは、天奇リチウムによるSQMの25%買収が大きな原因となった。 同じく浮上したペルーでは、2024年に予定されているチャンカイ港の30億米ドルプロジェクトなど、鉱業分野のプロジェクトで投資が増加中だ。
 ペルーとチリはそれぞれ、2015年と2018年に一帯一路構想に参加したが、メキシコとブラジルはそれに参加していない。だが、中国製品関税100%を主張するトランプ氏が当選する可能性もあり、メキシコやブラジルで中国企業が製造して米国輸出へという選択肢を構想しているようだ。
 専門家らは、中国の「新しいインフラ」への投資の成長が、特にエネルギー転換関連分野でブラジルに大きな機会をもたらすと考えている。例えば、自動車メーカー大手のBYDやGWMが進めている電気自動車製造計画は、ラテンアメリカの商品価値を高める重要な前進だといえる。
 カリエロ氏は、2023年の中国のブラジルにおけるプロジェクトの72%が再生可能エネルギー関連であり、その割合は過去最高となったと指摘。これは、中国が気候変動との闘いにコミットメントし、現在の地政学的な課題と相まって、世界経済への新たな統合を促進するパートナーシップやビジネスを模索していることを示しているという。
 エイネ氏は、米国や欧州が中国製品に制限を課しているおかげで、中国資本は「グローバル・サウス」での機会を求めており、同地域の国々に利益をもたらしていると指摘した。


サンパウロ市=市長候補と同名の市議候補=選挙地域裁が名前使用禁ず前の記事 サンパウロ市=市長候補と同名の市議候補=選挙地域裁が名前使用禁ず統一地方選=候補者は12年以降最少=有権者の数は史上最多に次の記事統一地方選=候補者は12年以降最少=有権者の数は史上最多に
Loading...