X復活、理由はブロック外し=モラエスはXにさらなる罰金=不正アカウント凍結、歩み寄りへ

8月30日以来、ブラジルでの運用を止められているSNSプラットフォーム「X(旧ツイッター)」が17日に一部の利用者の間で復活した。だが、これはX側がブラジルでのブロック外しのために行った行為と判明したことで、アレッシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事はX側にさらなる罰金を科している。他方、X側は不正アカウントの削除に応じ始めるなど、ブラジルでの運用再開に向け、歩み寄りの姿勢を見せはじめている。(1)(2)(3)
17日、聖市、リオ市、ベロ・オリゾンテ市の一部ユーザーに限られてはいたが、Xが再び使用できるようになったとの報告がX内で行われ、「ツイッターが戻ってきた」などの投稿も相次いだ。だが、これはすぐに、X側が行っていた施策によって可能になっていたことが明らかになった。
ブラジル・インターネット通信プロバイダー協会(Abrint)によると、国家電気通信庁(Anatel)によって使用が止められているブラジルのユーザーのデータを、米国のセキュリティ企業「クラウドフレア」に移し替えることで、Anatelからのブロックを解除したことによるものだったという。
また、クラウドフレアだけでなく、ファストリーやエドゲウドなどの同種の企業もこのブロック外しに加担したとみられている。
これを違反行為として重く見たモラエス判事は、Xに1日500万レアルの罰金を科した。また、Xがこの命令に従わない場合は、マスク氏が経営している通信企業「スターリンク」に対して同額の罰金を科すことになるとした。
Anatelも19日に、X側が行ったとされるブロック外しに関する嫌疑について、声明を発表した。同庁はこれを「命令執行に対する反抗を示した行為」と非難している。
他方、Xは18日に、非民主主義的言動を行い続けていたとして、モラエス判事が削除命令を出していた人物のアカウントの削除を行っていたことが確認されている。その人物の中にはモラエス判事から逮捕命令を出され、米国に逃亡中の極右ジャーナリスト、アラン・ドス・サントス氏やジョーヴェン・パン局のコメンテーターのパウロ・フィゲイレード氏、ユーチューバーのモナルキ氏などが含まれている。
マスク氏自身は、アカウントを削除したことを否定する発言を行っている。
また、X側は声明を出し、「ブラジル政府と協力し、一刻も早くブラジルでXが再利用できるようにするべく、取り組んでいるところだ」との意思表示を行っている。
Xがブラジルでの運用を再開するには、以前から科せられ、1830万レアルに膨れ上がっている命令不服従による罰金の支払いと、8月中旬にX側が不服従の姿勢の一環として一方的に引き払ったブラジル事務所の代表指名が必要だ。
一部の報道によると、マスク氏はブラジルの弁護士と会い、ブラジル事務所の代表指名に関する話し合いを始めているという。