ベネズエラ=「アモリンは帝国主義の手先」=関係悪化で駐伯大使召還=BRICS加盟阻止に抗議

10月30日、ベネズエラ政府はブラジリア駐在の同国大使マヌエル・ヴァデリ氏を本国に召還した。これは、ブラジルが同国のBRICS加盟を阻んだことに対する報復行為と受け止められている。同日付CNNブラジル(1)などが報じている。
ベネズエラ外務省が公表した声明によると、この召還はロシアのカザンで先月行われたBRICS会議でベネズエラのBRICS入りが認められなかったことに起因するものだという。同省は声明の中で、BRICS入りが反対されたことは「筋が通らない」と強い口調で批判している。
この声明ではさらに、セルソ・アモリン大統領付外交問題特別顧問について、強い不満が多数綴られている。同国によると、アモリン氏は「北米帝国主義のメッセンジャー」に過ぎず、ベネズエラと同国の国民に関して偏った情報を送ることに終始しているとした。(2)
また、ベ国外務省はアモリン氏の言動を、ブラジルとベネズエラの間の関係を損なう「絶え間ない攻撃」と述べている。
アモリン氏は10月29日に下院で行われた外交と国防に関する委員会に出席した際、ベネズエラに関し、「BRICSに加盟できなかったことを不当にブラジルのせいにしている」と語っていた。
アモリン氏はこの席で「ブラジルはキューバの参加には賛同するが、ベネズエラには賛同しない」と述べ、「ベネズエラには事態を正常化させることを願いたい」と語った。
ここでいう「正常化」とは、7月に行われた大統領選のことを指す。アモリン氏はこの時、かねてから約束されていた「公正な選挙」が行われるかを見届けるため、欧州や米国の監視団が入国を拒否される最中、投票日の2日前にベネズエラに派遣された。
投票終了後も、開票はなかなか行われず、7月29日未明に同国の全国選挙委員会(CNE)がいきなり、マドゥーロ氏当選と発表した。この時、アモリン氏もルーラ大統領も、「票の詳細を見せて欲しい」と求めたが、今日に至るまでそれが明らかにされていない。同国最高裁もマドゥーロ氏当選を認めたが、ブラジル政府は承認を保留した状態のままだ。
グレイシ・ホフマン労働者党(PT)党首はベネズエラ外務省の声明発表後、「嘆かわしい発言だ。アモリン氏は帝国主義のエージェントなどではない。我々PTの仲間だ」と抗議した。この発言は、これまで親ベネズエラ的な言動が目立っていた同党首が行った初めての批判として注目されている。(3)
だが、グレイシ氏は同時に、「ブラジルとベネズエラの関係修復を願う」とも綴った。PT内部にはベネズエラやニカラグアのBRICS加盟拒否を願う勢力がいた反面、マドゥーロ政権との関係継続を望む勢力もいると言われている。同党は大統領選後、ルーラ氏の許可も得ず、マドゥーロ氏当選を祝う声明を出し、ルーラ氏を困惑させた。(4)(5)
だが、連邦政府内では、マドゥーロ氏擁護の余地はなくなったとも言われている。