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シリア政権崩壊=ブラジル外務省は慎重姿勢=現地ブラジル人に帰国進める=在伯難民から歓喜の声

2024年12月10日

アジェンシア・ブラジルの記事
アジェンシア・ブラジルの記事

 シリアで起きた反政府軍によるアサド政権崩壊に対し、ブラジル外務省は「推移を見守りたい」との慎重な声明を出し、同国に在住する伯人の安全確保を強く求める姿勢を打ち出しているが、空軍機による帰国便を出すか否かは現時点では不明だ。8日、聖市パウリスタ大通りのシリア総領事館前には約200人のシリア難民が押し寄せ、喜びの声を上げた。8日付G1サイト(1)が報じている。

 全伯難民委員会(Conare)によれば、在ブラジル・シリア人難民は1万1231人(2020年現在)にも上る。CBN8日付報道によれば、パウリスタ大通りのシリア総領事館前で独裁政権崩壊を祝っていた一人、在ブラジル8年のザヘル・ジャマル・バクリさんは「13年間にわたる戦争で息子、兄弟などの家族を失いました。私はこの戦争で兄を亡くしましたが、彼を殺したのはアサド軍でした。ですから、兄の死に対する私たちの痛みが軽減されたので、今日は幸せです」とその喜びを語った。
 ブラジル外務省は8日、激化するシリアの状況に関し、「極めて心配な事態だ」との見解を表明した上、「事態が正常化するまで見守るつもりだ」と語った。
 ロシアとレバノン南部のヒズボラなどの支援でアサド政権は生きながらえてきたが、ロシアがウクライナ戦争で疲弊、イスラエルの攻撃でヒズボラが弱体化した関係で支援どころではなくなり、連鎖反応を起こしたと報道されている。BRICS関係でロシアと繋がりが深い現在のブラジルにとってアサド政権崩壊には一筋縄ではいかない部分があるのではとの見方もある。 
「ブラジル政府はシリアで激化する敵対感情の激化を懸念しており、関係するすべての当事者に出来うる限り自制することと、民間の人々やインフラの安全を確保することを求める」「シリアの主権と領土を尊重した、政治的な交渉による解決を支持したい」と外務省は声明で語っている。
 米国のバイデン大統領や欧州の首脳がアサド政権の崩壊に対して、「正義の実現」と喜びを示したのと比較すると、沈黙を続けるルーラ大統領をはじめ、ブラジルの態度はかなり慎重なものとなっている。
 外務省はさらに、シリアに在住、あるいは何らかの理由で滞在中のブラジル人に対して今後の注意を促した。それによると、「現時点でシリアにいない人はシリアに戻らないこと」「国が正常化するまで、なるべく国内にいないようにすること」「シリアに残る決断をした人は地元の自治体のガイダンスに従い、安全確保に努めること」「デモなどの集団行為に参加しないこと」「自身や家族のパスポートの期限が向こう半年間有効であるかを確認すること」「ブラジル国籍を証明する書類を確認すること」「ダマスカスにあるブラジル領事館で全てのデータを保存すること」などを勧めている。
 また、イスラエルやパレスチナ自治区のガザ地区、レバノンを対象として行った、連邦政府と空軍によるブラジル人在住者帰国用の航空便を出すことも予想されている。シリアには3500人ほどのブラジル国籍者が生活しているとされ、その大半が伯国籍を国籍を持つ両親の下で生まれ育ったシリア生まれの人たちだという。また、今回の混乱による在住ブラジル人の被害状況は分かっていない。(2)
 イスラエルの場合は1万4千人、パレスチナ自治区には6千人、レバノンには2万人超の伯人が滞在していたが、レバノンの場合は3千人がブラジル帰国を希望していた。シリアに関しては、帰国希望の需要がどの程度あるか、現時点では数が見えておらず、まだ帰国便を出すか否かの決定には至っていない。(3)
 9日、連邦政府は外交官たちの安全を考慮し、ダマスカスの領事館に従事する人たちを帰国させる決断を行っている。


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