ルーラ=低支持率対策に本腰=政権中道化は不可避=注目される閣僚人事

【既報関連】ダッタフォーリャによる最新の支持率調査の結果が、第1期政権以降の大統領在任期間中で過去最低を記録したことで、ルーラ政権が、その改善策や閣僚再編などに着手し始めていると、17日付CNNブラジル(1)などが報じている。
ルーラ大統領の支持率(良い・最良という肯定評価)が通算10年を超えた任期で最低の24%を記録したことについて、連邦政府は、食費に関するインフレが起き、ネット上で野党による強い批判を受けたことが最大の原因と見ている。
連邦政府はそれに対する対策として、これまで安定した支持基盤だった北部や北東部の低所得者層の人たちの信頼を回復させることを第一に掲げている。
具体的な方策としては、食費や薬品、建築資材などの価格を下げるような政策を行うことを連邦政府は考えている。また、現在の高利子を避けるべく、零細企業に対して低利の貸付を行うことも考えているという。
連邦政府は、一部では「労働者党(PT)のガス抜き」とも呼ばれている、左派のイメージを抑え、より中道寄りのマイルドな政策を行う必要を感じているともいう。
G1サイトの取材に答えたルーラ大統領の側近の一人は、「米国でトランプ大統領が当選し、右派政権が誕生した今、ブラジルに必要なのは、ルーラ氏とボルソナロ氏、どちらにつくのかを明確にしていない中道勢力を取り込むこと」との見方を示している。
そこで考えられるのが閣僚再編だ。ルーラ氏は現時点ではまだ、セントロン系の政党の代表を呼ぶことはしていないが、既に、セントロン系政党所属でもあるウゴ・モッタ下院議長(共和者・RP)やダヴィ・アルコルンブレ上院議長(ウニオン)らと、連邦政府に協力できそうな議員に関する話を行っている。
また、ルーラ大統領は現在、PTの政治家が大臣を務めている役職を明け渡す意向も示している。候補となるのは大統領府秘書室長官、農業開発相などだが、秘書室長官に関してはPT党首のグレイシ・ホフマン氏に行きそうだ。
また、懸案となっている政局調整役の大統領府渉外室長官も、アレッシャンドレ・パジーリャ氏(PT)から、イズナルド・ブリョンエス氏(民主運動・MDB)か、港湾空港相のシルヴィオ・コスタ・フィーリョ氏(RP)に代わる可能性が有力視されている。(2)
また、セントロン勢力を受け入れるにあたり、ジェラルド・アルキミン副大統領やシモーネ・テベテ企画予算相の役割が重要になってくるだろうとの見方もされ始めている。(3)
また、ルーラ氏自身がもっと積極的に法案作成や会議などに参加することも求められている。こうした席では現在、フェルナンド・ハダジ財相とルイ・コスタ官房長官という、ルーラ氏の後継者と目されている両者による強い対立が見られ、それも問題とされている。
17日には、ルーラ氏の長年の親友である大物弁護士のカカイ(アントニオ・カルロス・アルメイダ・デ・カストロ)氏がルーラ氏に宛てて、「第3期は別人のようだ。孤立し、囚われの身になっているかのようだ」との手紙を送ったことも話題となった。(4)