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日本発の環境型農業=注目の「ヤマカワプログラム」(3)=ブラジルで1万4千ヘクタール実施

2025年2月27日

ブラジル支部責任者の菅野ペドロ鉄夫さん
ブラジル支部責任者の菅野ペドロ鉄夫さん

 ヤマカワプログラム提唱者の故山川良一さんの一番弟子、船戸知樹さん(52歳、北海道常呂郡佐呂間町)は、「ヤマカワプログラムの良い面は、どこにでも手に入る材料で簡単にできることです」と語る。
 ヤマカワプログラムは山川さんが北海道の十勝から始めたもので、現在では日本メンバー100人以上、日本全国で約300戸以上の農家が取り組んでいる。
 南米では2022年からブラジルやアルゼンチン、ボリビア、コロンビアなどの農家が取り組み始め、ブラジルでは12州67人の農家が同プログラムを行っており、その実施されている面積は合計約1万4千ヘクタール(14mil hectares)だという。また、現在は南米のみならずスリランカやラオス、ヨーロッパ、アフリカ諸国など世界各国から問い合わせを受けている。
 ヤマカワプログラムの方法は、マンゴーや葡萄などの果物のみならず、白菜やネギ、じゃがいも、米までどんな作物でも利用可能だという。
 ヤマカワプログラムがブラジルで導入されたきっかけは、サンパウロ州イビウーナ市で87ヘクタールの大規模農家を営むヨシズミ・マサミさん(61歳・2世)が新しい農業の方法を模索していた際、菅野ペドロ鉄夫さん(57歳・2世、現ブラジル支部責任者)が同プログラムのことをYouTubeでみつけ、ヨシズミさんにその存在を教えたところにある。
 YouTubeには山川良一さんの講演動画があったが、より詳細を知る為、ヨシズミさんは菅野さんと共に、農林水産省の委託事業で中央開発株式会社(CKC)が実施する「中南米日系農業者等との連携強化・ビジネス創出委託事業―中南米日系農業者等」に打診。2021年12月に初めて「日・中南米合同勉強会」をオンライン上で実現させた。
 その後、22年10月に菅野さん含むブラジルから7人、ボリビアから1人、コロンビアから2人が訪日し、山川さんから指導を受けた。23年2月、24年2月に山川さんの弟子の高林優一さんと黒田栄さん(ヤマカワプログラムジャパン代表)が来伯し、同プログラムを行っている農場の視察を行った。
 今回日本からヤマカワプログラム関係者が来伯するのは3回目で、同プログラムを通じた日伯間の農業者交流は年々活発になっている。
 菅野さんは、山川さんの元へ何度も足を運び、同氏の理論を学び、ヤマカワプログラムに使う肥料のレシピなどを無償で貰ったという。
 菅野さんはパラナ州在住で、農業コンサルタントとして合計5000ヘクタールの畑を管理する傍ら、ヤマカワプログラムに必要な光合成細菌や乳酸菌酵母などの販売も行っている。
 菅野さんは、「山川先生は自然摂理や微生物について、今の人間が地球についてどう考えなければいけないかなど多くのことを教えてくれました。農業大国ブラジルでは現代農法によって疲弊している土地が少なくありません。このヤマカワプログラムはそんな土地を救い、ブラジルそして世界の土地を救う画期的な方法だと確信しています。山川先生の意思を継いで、少しでもブラジルで普及できるように頑張りたい」と胸中を述べた。(つづく、淀貴彦記者)


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