site.title

清和友の会=エコパークで自然環境を堪能=聖地の塔の意味にビックリ

2025年4月23日

エコパークで記念撮影
エコパークで記念撮影

 清和友の会(中沢宏一会長)は第6回ブラジル日系社会遺産遺跡巡りとして10日(木)7時半にリベルダーデを出発し、イミグランテ・エコパークと世界救世教(MOA)グアラピランガ聖地を訪問した。計32人が参加し、時おり雨の混じるあいにくの天候の中でも、早朝から晩までじっくりと自然豊かな環境を楽しんだ。
 このエコパークは、宮坂国人財団(西尾ロベルト理事長)が10年以上かけて2018年に開業した。海岸山脈にある森林地帯の48万4千平米を自然公園として管理し、来場者に環境保全の大切さを伝える施設だ。特に学校、教師、子供、十代の若者が大西洋岸森林における環境教育の原則の重要性を体験できるように設計されている。
 建設された構造物は、環境への影響を最小限に抑えるよう努めた特別な設計になっている。参観料は20レアルで要予約。必ずガイドが付いて道々にある植生を解説しながら進む。1時間半程度のルートで、途中かなり坂道もあり健脚が必要だ。
 参加者最長老の田中キヨさん(95歳、岩手県出身)はグループの先頭を切って最後まで歩き切り、賞賛を浴びていた「特に健康法とかはないです。友好病院の裁縫ボランティアも毎週欠かさず参加している。この2年間で行かなかったのは、メトロがストをした1回だけ」と笑った。
 2番目に長老の藤原ヨリコさん(90歳、島根県)にも健康の秘訣を聞くと、「好奇心が強いことかしら。何でも見たいと思って、こうやって参加するのが私の健康の秘訣」と語った。

左から参加者最長老の田中キヨさんと2番目に長老の藤原ヨリコさん
左から参加者最長老の田中キヨさんと2番目に長老の藤原ヨリコさん

 地元サンベルナルド・ド・カンポ在住のガイドのレナン・ロッシャさん(30歳)は、ここで働き始めてまだ5カ月だが、大西洋岸森林地帯特有の生態系の重要さをとくとくと説明した。中でもミーハ(Mirra)の木の説明には、キリスト教に造詣の深い参加者から「これがあの聖書に出てくる植物なの!」と歓声が上がっていた。
 ミーハは日本語で「没薬(ミルラ)」と呼ばれ、イエス・キリスト降誕の際、東方の賢人たちが母マリヤとともに居る幼子を見、ひれ伏して拝み、贈り物の一つとしてこれを捧げたと聖書にはある。
 鈴木良子さん(76歳、青森県)は「聖書に出ているミーハがここに自生していると知り、驚きました」と述べた。右近倍枝さん(77歳、長崎県)も「ここは空気が良くて、良く管理されていて感心した。安心してこれる。真っ赤なトンボ、濃い紫の蝶々など珍しい昆虫や変わった植物もあり、もう一度来たい」と語った。
 続いて一行は、世界救世教のグラピランガ聖地に向かった。バスの車中で中沢会長は「聖地のダイナミックな土地の使い方、庭の造形、神殿の荘厳さなど日本人離れした発想を感じる。そのようなスペースの使い方はせせこましい発想の人間にはできない」と特徴を説明。榎原良一副会長も「救世教は理事長から職員までブラジル人で、しかも日本語を良くしゃべる人が多い。ブラジルの日本の良い面が調和して合わさった独特の運営がされている。その中に日本語の大事さがうかがえる」との見方を説明した。
 ブラジル救世教で総務部長まで務めて定年退職した大野正人さんは「現在は柱だけの神殿になっていますが、あれは当時の渡辺哲男先生が夢に見たものを絵に描いて、それを図面に落として施工したもの。それまでは普通の会館の建物の予定でしたが、一気に予定変更しました。実はその時、僕は大反対したんですよ。だってそれまでの見積もりや施工予定が一気にひっくり返りますから。でも結局は夢の通りにして正解でした」と頭を掻く。

聖地の塔(Naosei610, via Wikimedia Commons)
聖地の塔(Naosei610, via Wikimedia Commons)

 大野さんが「神殿の中央にそびえる塔の下部に鏡が仕込んであり、12月22日、夏至の日にこの真上に太陽が来ます。しかも教祖(岡田茂吉)の誕生日が12月23日なので、その時間であるブラジル時間22日正午(日本時間23日零時)に太陽がこの真上に来る。つまり、その時だけ塔の下までまっすぐ光が差し込んで、鏡に当たって周りに反射する。そのような形で、教義を世界に広めることを象徴する塔として設計されています」と説明すると一同は驚いた様子。「今では宗派関係なく、いろいろな教団の方、一般の方がたくさんこの施設を利用してくれています」と語った。
 一行は同聖地で昼食後、ゆっくりと施設の解説を受けながら見て回り、一般向けの陶芸講座を行う新しい施設も見学して、夜8時にリベルダーデに戻った。


街角ちょっと見=庭を通して教え広める前の記事 街角ちょっと見=庭を通して教え広めるよだれ鶏=レシピ紹介コーナー「いただきます」(31)=「日本の家庭料理をブラジルで作る!」次の記事よだれ鶏=レシピ紹介コーナー「いただきます」(31)=「日本の家庭料理をブラジルで作る!」
Loading...