最高裁バローゾ長官が訪日=東京や京都、大阪万博で講演=制度的安定性やビジネス環境

ブラジル最高裁サイトによれば、ブラジル連邦最高裁判所(STF)の長官、ルイス・ロベルト・バローゾ氏は13日から18日まで日本を公式訪問し、東京、京都、大阪の3都市で精力的に活動を行った。特に最終日の18日は大阪・関西万博のブラジル館で講演した。
バローゾ長官は東京では、日本の最高裁判所長官・今崎幸彦氏と会談を行い、両国の裁判所の役割や共通する課題について意見を交わした。現代の民主主義社会において裁判所が直面する問題や司法のデジタル化、特に人工知能(AI)の活用についても議論された。
鈴木馨祐(すずき けいすけ)法務大臣 や日本弁護士連合会会長・渕上玲子氏とも面会。国会や最高裁判所に附属する司法研修所では、所長や教官らと面会し、ブラジル憲法の特徴や最高裁の幅広い裁量について講演を行った。東京大学でも法学部の教員らとの意見交換を行い、「権威主義的ポピュリズムに直面する最高裁の役割」をテーマに講演を行った。
京都では、京都大学法学部と法政策共同研究センターを訪問。法学部長および教員らと面会し、主に人工知能と環境問題についての議論を深めた。最後に大阪では、2025年大阪・関西万博のブラジル館を視察。ブラジル貿易投資振興庁(APEXブラジル)の招きで講演「なぜブラジルか?―制度の安定性、法的安全性、ビジネス環境―」を行った。

22日付APEXブラジル広報によれば、バローゾ長官は18日、大阪・関西万博のブラジル館(主催:ブラジル輸出投資促進庁〈APEXブラジル〉)で「なぜブラジルなのか——制度的安定性、法的安全性、ビジネス環境」というテーマで講演を行った。
ブラジルが世界第10位の経済大国であり、国内総生産が約2兆ドルに達すると紹介。過去2年間の予想を上回る成長や、堅調な外貨準備高、歴史的に最低水準となった失業率を強調し、同国の経済的魅力を訴えた。
ブラジル館の総支配人を務めるマリア・ルイーザ・クラーヴォ・ウィッテンベルグ氏は、「講演はブラジルの力を示すと同時に、社会的および教育的課題に真剣に取り組む姿勢を世界に伝えるものでした」とコメント。
浜松のブラジル総領事館のアルデモ・ガルシア総領事は「バローゾ長官の講演は、ブラジルが直面する主要課題を的確に捉えていた」と称賛した。団体「Grupo Mulheres do Brasil(ブラジル女性の会)」のヴァネッサ・ハンダ氏も出席し、「今のブラジルを理解するための貴重な授業のような講演だった」と感想を述べた。