米政府=マドゥロ政権政策を批判=犯罪組織の米国流出助長

米国土安全保障省(DHS)は、ベネズエラのマドゥロ政権が実施した大量の受刑者釈放や移民管理の緩さが、同国のギャング組織「トレン・デ・アラグア(TDA)」構成員が米国に流入する一因となり、これが米国の安全保障に対する脅威を高めたと指摘している。6日付のレコルジ・セッテが報じた。(1)
DHS報告書では、マドゥロ政権による一連の措置が、犯罪者の国外逃亡を助長し、その結果、米国内の治安リスクが増大したと主張。ベネズエラ当局が犯罪者の国外流出を黙認、促進した可能性があることを示唆しており、これは国内の刑務所システムへの圧力を軽減し、社会的緊張の緩和を意図したものだったと分析。だがこれが米国を標的とした行為である証拠は確認されていない。
TDAは中央集権的な指導体制を持たず、独立した個人単位で活動しているため、米国当局は効果的な取り締まりが困難な状況にある。
同報告書では、移民の大多数が犯罪組織とは無関係であることを強調する一方で、TDAとの関係が確認された一部の構成員も米国に流入しており、ニューヨークやマイアミなどの大都市で犯罪に関与した人物も含まれていることが指摘されている。
この状況を受け、米国当局は国際的な協力強化を求めており、特に南部国境において、移民と犯罪組織との関係を追跡するための体制整備を進める必要性を強調。DHSは、移民流入の中に犯罪組織と関係を有する可能性のある個人が含まれているとして、各国との連携を深め、監視体制の強化を提言している。
報告書の内容については、共和党関係者の一部が、トランプ大統領の選挙キャンペーンで展開した「移民による治安悪化」という主張を裏付けるものとして注目している。だが一方で、移民および安全保障の専門家らは、個別の犯罪事例を根拠に移民全体を犯罪者とみなす風潮に懸念を示し、そのような一般化には慎重であるべきだと警鐘を鳴らす。
TDAは、2000年代初頭にベネズエラの刑務所内で結成されたギャング組織で、現在では南米全域に勢力を拡大。麻薬密売や人身売買、恐喝などに関与し、治安に深刻な脅威をもたらす。15年以降のベネズエラ難民危機を背景に、TDAは移民ルートを通じて国外進出を加速させた。