砂糖=24/25農年不足を上方修正=ブラジル産好調で生産余剰に

国際砂糖機構(ISO)は15日、2024/25農年の世界砂糖不足予測を488万トンから547万トンに上方修正した。これは9年ぶりの大規模な不足となる見込みであり、特にインドとパキスタンの生産が予想を下回ることが影響している。一方、次の25/26農年におけるブラジルの砂糖生産は4204万トンに達すると予測され、これにより世界市場の砂糖供給が回復し、153万トンの世界的な余剰形成に寄与する見込みだという予測が示されたと16日付ノヴァ・カナ(1)(2)が報じた。
ISOの最新の四半期報告によると、インドの24/25農年の砂糖生産量は、前回予測の2727万トンから2609万トンへと下方修正され、前農年の3220万トンから大幅な減少が予測されている。パキスタンについても、616万トンとしていた前回予測を574万トンへ引き下げた。これにより、世界全体の砂糖生産量は、前回予測の1億7554万トンから1億7480万トンに減少する一方、消費量もやや下方修正されたことで、部分的に相殺されるとみられている。
こうした中、翌25/26農年に向けた供給回復の鍵を握るのがブラジルだ。中南部では、24年10月〜25年4月にかけての累積降雨量が過去5年間でも屈指の水準となり、土壌水分が十分に回復した。これにより、同地域を中心にサトウキビの生育環境が改善し、ブラジル全体の生産量は前農年の実績である4017万トンを上回り、4204万トンに達する見通しとなっている。
農業コンサルティング会社Datagroのプリニオ・ナスタリ社長は、ニューヨークで14日に開催された国際会議において、ブラジルの製糖工場は4月の有利な気象条件を受けて圧搾の本格化を意図的に遅らせており、これにより収穫後半にピークを迎えると指摘。インドとタイの生産も回復基調にあり、これらが世界の砂糖供給全体の押し上げ要因となるとの見方を示した。
ナスタリ氏はまた、現在の砂糖価格が、生産コストの高い一部欧州諸国やインドの生産者にとって圧力となっていると述べた上で、ブラジル国内では価格水準や市場環境を背景に、新規の生産能力拡張を促すだけのインセンティブは乏しいとの認識を示した。