「医療連携と技術革新」セミナー=在伯日本国大使館など共催で

日伯友好交流130周年を記念した「医療連携とイノベーション(技術革新)」セミナーが5月21日、サンパウロ市パウリスタ大通り沿いのジャパンハウスで開催され、日本とブラジルの医療および企業関係者など約100人が出席した。
同セミナーは、サンパウロ大学医学部附属クリニカス病院と米州開発銀行(IDB)間で締結され、日本の特別基金により母子死亡率の削減を目的とした共同技術開発と実用化を祝して行われたもの。在ブラジル日本国大使館、クリニカス病院、IDBなどが共催した。
午前9時から行われた開会式には、在ブラジル日本国大使館の林禎二大使をはじめ、ブラジル保健省のアナ・エステラ・ハダジ情報デジタル保健局長、IDBおよびクリニカス病院関係者などが出席。林大使は開会あいさつで、同イベントが今年3月のルーラ大統領訪日後の行動計画の一環であるとし、両国のスタートアップ企業への支援と、デジタル分野における提携の重要性を強調した。

セミナーでは、日本の技術を活用し妊婦の遠隔モニタリングをブラジルのSUS(統一保健医療システム)を通じて行う「メロディ・プロジェクト」の正式発足も発表。香川県高松市に本社を置く「メロディ・インターナショナル」社の尾形優子代表が、日本からのオンライン講演を行った。
尾形代表によると、2015年に設立された同社は、居住地域によって出産リスクの格差を生まない周産期遠隔医療プラットフォームを開発・普及。これまでに日本をはじめ、インドネシア、タイ、フィリピン等で遠隔医療プロジェクトを実践しているという。
そのほかセミナーでは、現在のデジタル医療の取り組みについて、日本企業関係者やクリニカス病院など専門家によるパネルディスカッションも行われた。
サビアの独り言
在ブラジル日本国大使館関係者から「ぜひ、取材してほしい」と言われて出席した5月21日の「医療連携とイノベーション(技術革新)」セミナー。ポ語主体のセミナーだったので、当然、日本語の同時通訳で進行されると思っていたら、何とポ語と英語の同時通訳しか付かなかったことには往生した。一番の問題は記者自身の言語能力ではあるのだが、「日伯友好交流130周年」を記念したイベントである上、会場が「日本の正しい姿を発信する」施設のジャパンハウスなのだから、英語ではなく日本語で通訳してほしかったというのが正直なところ。海外で「日本文化である」日本語教育の普及が難しいのは案外、こうしたことが一因しているのかもしれないと思わされた取材だった。(松)