ルーラ=公海条約は年内批准=国連海洋会議で約束

【既報関連】4~9日にフランスを訪問中のルーラ大統領が9日、ニースでの国連海洋会議の開会式で年内に公海条約を批准すべく尽力していると語ったと同日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。
大統領が言及した公海条約は、国家管轄圏外区域における海洋生物多様性の保全と持続可能な利用に関する協定(BBNJ)のことだ。ブラジルは23年9月に他の115カ国と共に署名したが、今も批准手続きの最中だ。同条約は40年以上前に採択されたもので、発効には最低60カ国の批准が必要だが、既に批准したのは32カ国のみ。国連は年内の発効を目指している。
ルーラ氏は、同条約は人類共通の遺産という概念を初めて明文化したもので、海洋空間を統治する国際体制の創設は外交史上最大の功績の一つと称賛した後、「ブラジルは国境を越えた生物多様性の透明性と共同管理を確保するため、年内に公海条約を批准するために尽力している」と語った。
また、「海洋抜きで持続可能な開発を語ることはできず、海洋を保護せずに気候変動と闘うことはできない。生存のために海洋資源に直接依存している人は30億人いる」「海は生命の連鎖全体を保護しており、地球上で最大の気候調整器だ」とも述べた。また、海洋には一方的な行動の脅威が迫っているとし、「海が地政学的な紛争の舞台となるのを防ぐことは平和構築のための緊急課題。海峡や湾は我々をより近づけるもので、不和の源となるべきではない」と強調した。
また、11月にベレンで開催される第30回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)でも海洋の保全と持続可能な利用に重点を置くと説明。5日の国際環境デーでも問題視されたブラスチックごみは海洋汚染の80%を占めることに触れ、持続可能な開発目標(SDG)14とパリ協定実施への新コミットメントの必要にも言及した上で、海洋の持続可能な利用は13日に開かれるブラジル・カリブ海諸国首脳会議や伯国が26年に主催する南大西洋平和協力圏第9回会合などでもテーマとなると述べた。
さらに、この国連海洋会議では、海洋域の保護、海洋空間計画、持続可能な漁業、科学、教育に関する自主的なコミットメント七つを提示することも強調。世界の指導者達は「気候問題は科学者の作り話でも国連関係者の冗談でもない」ことを理解し、小学校での気候問題の教育に投資する必要があるとも語った。
ルーラ氏は8日のモナコでのブルーエコノミーに関する会合でも、24年は富裕国の政府開発援助(ODA)が7%減少した一方、軍事費は9・4%増えたことを指し、貧困国の経済、環境、社会開発を支援するための財政支援の削減を批判。「これは資金不足が原因ではなく、資金提供への意欲と政治的コミットメントの欠如を示している」とも語っている。(2)