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クーデター疑惑審理=ボルソナロが質疑応じるも=モラエス判事に謝罪、冗談も=緊迫対面の予想とは裏腹に

2025年7月10日

10日の最高裁でのボルソナロ氏(Gustavo Moreno/STF)
10日の最高裁でのボルソナロ氏(Gustavo Moreno/STF)

 10日、ボルソナロ前大統領が最高裁第1小法廷でのクーデター疑惑審理の被告として、アレッシャンドレ・デ・モラエス判事と対面での質問に応じた。ボルソナロ氏は同判事に対し、「クーデターではなく、憲法の範囲内での対応だった」とし、抗議デモに参加した自身の支持者たちを「悪者」と呼んだ。さらに、モラエス判事に対し謝罪を行ったり、「大統領選の副候補にならないか」との冗談を飛ばしたりして、話題を呼んだ。同日付G1サイト(1)が報じている。

 ボルソナロ氏はこの日、アルミール・ガルニエル・サントス元海軍総司令官、アンデルソン・トレス元法相、アウグスト・エレーノ元大統領府安全保障室(GSI)長官に続く4人目の被告としてモラエス判事による質疑に応じた。
 ボルソナロ氏は、クーデター計画はなかったと発言。「いかなる場合も逮捕の可能性をちらつかせて脅迫したことなどない。軍がそれを命令として受け入れることもなかっただろう」と答えている。
 他方、電子投票の安全性を疑問視する嘆願が選挙高裁に却下されたことを受け、自身が所属する自由党(PL)が軍と共に、法的解決の可能性について非公式に話し合ったことは認めた。「憲法上の条項を設けることを探って話し合ったが、2回目の会合で却下された」と語った。
 ボルソナロ氏はこの日も、電子投票を「ベネズエラやパラグアイの選挙のレベルだ」と呼んで批判し、自身が提案して却下された投票内容の印刷付電子投票(ヴォット・インプレッソ)の優越性を主張した。この日、前法相のトレス被告は、従来通りの電子投票で行われた大統領選に不正はなかったとの発言を行っている。
 ボルソナロ氏は大統領選の結果を変えうる条令の草案(ミヌタ)に関しても、「表面的に存在しただけで、まとまってもいないものだった。議論もしていない」とし、司法取引に応じた元側近のマウロ・シジ被告が指摘したような「書き換えなどは行っていない」とした。
 モラエス判事がボルソナロ氏に対し、最高裁判事が賄賂を受け取っているのではないかとの噂を拡散したことについて尋ねた時は、「それは根拠のない話だった。すまない」と謝罪した。予てから強い対立で知られた同判事への謝罪は、少なからず驚かれた。
 ボルソナロ氏はさらに、大統領選後に自身の支持者たちが起こした抗議活動について、「私が刺激したものではない」と発言。加えて、23年1月8日の三権中枢施設襲撃事件への参加者のことを、「軍政例第5条(AI5)の悪者たち」と呼んで批判した。
 この際、ボルソナロ氏はモラエス判事に対し、「この時の抗議者のビデオを見たいか」と尋ねたが、同判事は「結構だ」と答えた。ボルソナロ氏はその後も、「冗談だが」と前置きして「2026年の大統領選で私の副候補にならないか」と語りかけたが、モラエス判事は「これもまた結構だ」と返した。(2)
 この質疑が終わった後、ボルソナロ氏の側近や支持者たちからは落胆の声が相次いだ。彼らはボルソナロ氏に対し、毅然とし、緊迫した対面を求めていたが、謝罪や冗談などに失望したとの声が多く見られた。当初の予想では、ボルソナロ氏が黙秘権を行使するとの見方も多かったが、ボルソナロ氏はこの日、全ての質問に答えた。
 この質疑に対してメディアは、「部分的な自白では事態が悪くなりうる(エスタード紙)」「自身への実刑判決を自宅軟禁に引き下げることを目的にしたものだったのではないか(G1サイト)」との評を行っている。(3)(4)


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