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ブラジル外務省がイスラエル批判=「イラン攻撃は中東全域に脅威」=訪問中のブラジル人市長ら隣国退避

2025年7月10日

サンパウロ市での15日の抗議活動(Guilherme Jeronymo/Agencia Brasil)
サンパウロ市での15日の抗議活動(Guilherme Jeronymo/Agencia Brasil)

 イスラエルが12日にイランに攻撃をし始めたことに対し、ブラジル外務省はイスラエルを批判する声明を行った。また、イランからの報復で戦火に見舞われたイスラエルでは、ブラジルから同国を訪問中だった市長その他の政治家らの安否が気遣われていたが、少なくとも一部の政治家らはヨルダンに避難した。13日付UOLサイト(1)などが報じている。
 ブラジル外務省は13日、イスラエルによる攻撃を「自国(イラン)の主権と国際法の明白な侵害」と非難する声明を発表した。また、「この攻撃は中東全域を巻き込む紛争を引き起こす恐れがあり、平和、安全、世界経済にとって大きなリスクとなるだろう」と続けている。
 イスラエルはこの日、「差し迫った脅威への先制攻撃」と称し、100機以上のドローンを動員してイランを攻撃。同国の軍の指導者2人が死亡したとの発表も行った。
 このイスラエルによるイラン爆撃に関し、ルーラ大統領はまだ正式な声明を出していない。大統領はかねてから、イスラエルによるガザ地区を中心とするパレスチナ自治区への攻撃は「ジェノサイド(集団殺害)」だと厳しく批判しており、イスラエル政府が批判し返すなど、気まずい関係となっている。
 また、ブラジル・イスラエル人連盟(Conib)も「ルーラ大統領の発言はネット上におけるユダヤ人とイスラエルに対する攻撃を助長させ、ブラジルにおけるユダヤ人コミュニティを危険に晒している」として批判している。(2)
 他方、15日にはサンパウロ市ルーズベルト広場で親パレスチナ派のデモが行われた。デモ参加者たちは、同じくサンパウロ市中央部にあるシンクエンテナリオ・デ・イスラエル広場まで行進を行った。
 そこにはギリェルメ・ボウロス下議(社会主義自由党・PSOL)も参加。「今やガザが強制収容所のようになっている」として、イスラエルを批判する一幕も見られた。
 現地時間の13日夜にはイランがイスラエルに対して報復攻撃を行い、状況は悪化の一途をたどっており、イスラエルを訪問中だったブラジル人市長らの安否が気遣われる状況となっている。(3)
 イスラエルを訪問中の政治家は市長や副市長、市保安局長など、約40人に上り、現地時間の13日未明(ブラジルでは12日夜)までに、少なくも6州と連邦直轄区の政治家たちがシェルターに逃れていることが確認されている。
 14日付CNNブラジルによると、グレイシ・ホフマン大統領府渉外室長官が同日夜、連絡をとり、安否が確認できている政治家は、ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテのアルヴァロ・ダミアン市長(ウニオン)、パライバ州ジョアン・ペッソアのシセロ・ルセナ市長(進歩党・PP)、ゴイアス州ゴイアニアのクラウジア・リラ副市長(アヴァンテ)、リオ州ノヴァ・フリブルゴのジョニー・マイコン市長(自由党・PL)、パラー州サンターレンのネーリオ・アギアル元市長、ミナス・ジェライス州ウベルランジアのヴァンデルレイ・ペリセル副市長(PL)らだ。彼らは17~19日に開催予定だった公共管理に焦点を当てた国際技術見本市に参加するために同国を訪問し、20日まで滞在する予定だった。(4)
 グレイシ長官は14日夜、一行をまとめているダミアン氏に電話をかけ、伯国外務省とイスラエル政府が13日までにまとめた交渉の内容を伝え、安全な帰還を手配しているところだと伝えている。同長官は15日にも再連絡を取っている。
 全国地方自治体連合(CMN)によると、市長4人と副市長2人を含む一行12人は現地時間の16日朝、ヨルダンに到着したという。
 なお、ブラジル外務省によると、イスラエル政府はそれ以外の政治家27人にも国外脱出のための手段を提供している。また、先の見本市に参加するためにイスラエルに向かっていた聖州副知事と同州内陸部の市長たちは、予定していたパリ~テルアビブ間の便が13日の爆撃でキャンセルされたため、難を免れた。(5)(6)


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