アグリビジネス=4月までの輸出堅調に推移=トランプ関税でも伸び見せる

ブラジルの1~4月のアグリビジネスにおける輸出収入は528億米ドルに達し、25年初頭の米国による輸入関税導入で生じた不確実な状況下でも底堅い回復を示したと12日付G1サイト(1)が報じた。
サンパウロ総合大学(USP)サンパウロ州ピラシカバ構内のルイス・デ・ケイロス農科大学応用経済学高等研究センター(Cepea)が、商工開発サービス省貿易業務統合処理システム(Siscomex)のデータを分析したもので、1~4月のアグリビジネスの輸出額は昨年同期比で1・6%増にあたる。1~4月は出荷量が3・5%減ったが、ドル建て平均価格が5・3%上昇した。
輸出額を牽引したのはコーヒーとオレンジジュースで、輸出量の伸びが目立ったのは、大豆油(30%)、食肉(豚肉17%、牛肉13%、鶏肉9%)、セルロース(11%)、綿花(17%)だ。
食肉の伸びは堅調な国際需要によるもので、米国の輸入関税も米国へのブラジル産食肉の販売増を妨げなかった。コーヒーとオレンジジュースの価格急騰は、国際的な供給不足が原因だという。
食肉は1~4月のドル建て総売上高の18%を占め、昨年同期比で20%増の92億米ドルに達した。牛肉の最大輸入国は中国だった。
林業は昨年同期比で9%増の約57億米ドルを売り上げ、アグリビジネスの輸出総額の11%(第3位)を占めた。同部門の主要製品は木材で、米国向けが42%を占めた。セルロース輸出は中国が主軸で48%を占めた。紙はアルゼンチンが主要パートナーとなっている。
棉は国際価格の低下が続いており、1~4月の棉の輸出量は昨年同期を16・5%上回ったが、平均価格は昨年同期を13%下回った。
ブラジルのアグリビジネスの主要相手国は中国だが、1~4月は総輸出額に占める割合が若干減少。他方、欧米諸国、中東諸国、東南アジア諸国は割合が増えた。
Cepeaは、ブラジルの穀物収穫量が過去最高を記録したことから、アグリビジネスの輸出は、特に数量において成長率を維持すると見ている。また、米国による輸入関税導入はビジネス環境を不確実なものにしており、世界経済の成長が鈍れば、全般的な需要減少が起き、現在の状況に水を差す可能性があるが、中国その他の輸出先で追加関税を払う必要がなくなれば、アジア市場におけるブラジルの競争力が高まり、輸出が順調に伸びる可能性ありと見ている。
対米輸出に関しても、4月の結果だけ見ると、牛肉とオレンジジュースの輸出は堅実に推移していたという。
なお、24年のアグリビジネスの輸出額は前年を1・3%下回る1655億米ドルで終わった。4年連続で増加を遂げた後の減少は、大豆複合製品(穀物、ミール、油)やトウモロコシの出荷が29%と28・8%落ち込んだことが主要因だ。大豆製品の輸出量は1億トンを上回り、輸出量全体の約50%を占めたが、輸出量は前年比で3%減り、ドル建て平均価格も17・6%下落した。特に12月は穀物やミール、油の輸出量が前年同月を29%下回り、価格は約19%下落したという。トウモロコシは輸出量が28・8%減り、価格も15・9%下落。これにより、ドル建ての輸出額が40%も落ち込んだ。
他方、綿糸くず71%、コーヒー30%、砂糖22%、牛肉26%など、輸出量が増えたものもあったという。