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ミナス州南部=注目のレアアース巨大鉱床=埋蔵量世界2位、探査進む

2025年7月10日

レアアース鉱床の位置(21日付G1サイトの記事の一部)
レアアース鉱床の位置(21日付G1サイトの記事の一部)

 ミナス・ジェライス州南部の休火山に広がる大規模なレアアース鉱床が、ブラジルをエネルギー転換の戦略的中核国へと押し上げる可能性が浮上している。低コストかつ環境負荷の少ない採掘方式が注目を集める一方、化学処理による土壌や水質への影響を懸念する声もあり、持続可能な資源開発に向けた精緻な環境対策が求められていると21日付G1など(1)(2)が報じた。
 レアアースはハイテク製品の生産やクリーンエネルギー技術に使われる化合物の製造に欠かせない17種類の化学元素の総称で、戦略物資としての重要性が高まり、米中間の貿易摩擦の焦点にもなっている。鉱山動力省によれば、ブラジルは世界埋蔵量の23%にあたる2100万トンを保有し、中国に次いで世界第2位。鉱床は同州のほか、ゴイアス州、アマゾナス州、リオ州、サンパウロ州、ロライマ州でも確認されている。
 採掘予定地は約1億2000万年前に活動を終えた火山のカルデイラ地帯で、ミナス・ジェライス州のポッソス・デ・カルダス、カルダス、アンドラーダス、サンパウロ州アグアス・ダ・プラタの4市にまたがる。対象区域は750平方キロに及び、豊富な埋蔵量と地表に近い分布から採掘が容易で、中国に匹敵する競争力を持つとされる。
 この鉱床は、風化に弱いアルカリ性岩が長年の自然作用により「希土類」イオンを豊富に含む粘土へと変化したもので、世界第2位の規模を誇る。イオン性粘土中のレアアース酸化物(TREO)濃度は世界平均の1千〜1500ppmを超え、2500ppm以上。分離効率も70%と高い。カルデイラの15%を調査した時点で既に20億トンの鉱物量を確認しており、今後の探査で最大100億トンに達する可能性があるという。
 注目される採掘技術は、爆破や大規模掘削を伴わない地表型採掘だ。採掘と同時に埋戻し・植生回復を行う「バックフィル方式」は環境負荷を減らし、コストも従来の約1/5程度に抑えられる。使用水の約8割は再利用され、残りは粘土に含まれる自然水分で賄われるため、堆積ダムも不要とされる。
 これらの特性を背景に、オーストラリア資本の2社が採掘許可を取得し、26〜27年の操業開始を予定している。両社のプロジェクト二つは、合計420平方キロの区域にわたり、鉱物資源量は約9億トン、TREO濃度は平均2580ppmと見積もられている。
 経済面では、採掘による税収も注目されている。採掘会社の総収入の2%は鉱物開発金融補償(CFEM、鉱物ロイヤルティ)として徴収され、その65%が自治体に分配される。ポッソス・デ・カルダス市での年間収入は最大で2300万レに達すると推定され、その内1500万レが自治体に納められる予定だ。
 一方、化学処理による環境影響への懸念も強い。処理後の粘土が採掘跡に戻される際の土壌・水質・大気への影響は完全に検証されておらず、地元環境団体は第三者による客観的評価を要求。自治体は企業と連携し、環境保護と経済発展の両立を模索している。
 また、連邦政府はこの機会を活かし、中国以外で初のレアアース統合国内生産体制を目指している。ミナス・ジェライス州ラゴア・サンタには既に、年間100トンのネオジム磁石を生産する能力を持つ研究施設「レアアース磁石イノベーション技術センター」が開設され、国内資源による精製・製造・リサイクルを視野に入れたプロジェクト「MagBras」が始動している。
 レアアース市場は現在、中国が採掘から製造までをほぼ支配しており、ブラジルがこの構造に風穴を開け、供給網の多極化を推進できるかが問われている。


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