IOF増税=大統領令33年ぶりに却下=両院相次いで否決案承認=別財源捻出で頭抱える政府

25日夜、三つの項目に関する金融取引税(IOF)の税率引き上げ(増税)を定めた大統領令が下院と上院で立て続けに覆された。これにより、予算凍結額を抑えながら財政支出目標を守るためにIOF増税は使えなくなり、連邦政府にとって大きな敗北となった。同日付G1サイト(1)が報じている。
今回の投票は、連邦議会内でフェルナンド・ハダジ財相による増税決定と、その増税案に対する修正案の実施の遅れに対する不満が高まる中で急遽行われた。ウゴ・モッタ下院議長が25日の議題にIOF増税に関する大統領令を覆すための審議を盛り込むと発表したのは、24日の午後11時頃だった。
モッタ議長の発表の数時間後、連邦政府のリーダーたちは大統領令を維持するためのキャンペーンを始めた。連邦政府側は、IOF増税をはじめとしたハダジ財相の案は、公共部門の機能を維持し、支出凍結や不測の事態を避けるために不可欠だと主張し、抗議した。
だが、その抗議は聞き入れられず、25日夜に投票は行われ、IOF増税を却下する法案は383票対98票で承認された。同法案では、企業への信用取引や外貨購入、保険や特定種類の投資に対するIOFの税率を引き上げることを禁じている。
下院で承認された法案は即座に上院に回され、何も手を加えず、そのまま審議と投票が行われた。投票は象徴的で、投票結果も公表されていないが、反対したのは労働者党(PT)の上議と民主労働党(PDT)のウェヴェルトン・ロシャ上議のみで、難なく承認された。
連邦議会で大統領令が否決されたのはコーロル政権時代の1992年以降、初めてだ。これにより、連邦政府は別の形で税収100億レアルを捻出しなければならなくなった。
IOF増税は5月22日に発表され、経済スタッフは200億レアルの税収増を見込んでいた。
だが、IOF増税は初めから波乱含みで、従来は規制税として扱われていたIOFを収入税で扱っていると判断した財界が強く反発。発表当日に、国外からの投資などに対するIOF増税が取り下げられた。
その後、連邦政府の経済スタッフが連邦議会側と話し合いを持ち、6月11日に100億レアルの税収増に修正した大統領令と暫定令を出して、譲歩の構えを見せていた。だが26日付CNNブラジルなどによれば、却下された本当の理由には、医療分野における議員割り当て金の支払い遅延に対する連邦議員側の不満があると指摘している。議員割り当て金の透明性を求める最高裁(STF)の最近の判決も、この状況に拍車をかけているという。
連邦議会の投票が行われたこの日、ハダジ財相は「IOF増税の大統領令は不正を正すものであり、公的会計のバランスをとり、労働者の社会的権利を保障するために富裕層による脱税と戦うものだ」として、正当性を主張していた。
政局調整担当のグレイシ・ホフマン大統領府渉外室長官は連邦議会での投票結果を受け、「議会が大統領令を覆したことで、新たな支出凍結と予算の予備費が必要となる」との懸念を表明している。