風力発電で領土紛争再燃=リオ・グランデ・ド・スル州かウルグアイか

リオ・グランデ・ド・スル州サンターナ・ド・リヴラメントに建設された風力発電所が、ブラジルとウルグアイの間で長年続いていた領土紛争を再燃させていると1日付G1サイト(1)が報じた。
風力発電所があるのはリンカン・デ・アルチガスと呼ばれる地域で、ブラジル側はこの土地はサンターナ・ド・リヴラメント市の一部と見なしているが、ウルグアイ政府はこの地域の国境線の設定が不適切だったとして、100年近く前から領有権を争っていた。
この地域は人口がまばらで、2022年にエレトロブラスがブラジルとウルグアイの間にある200平方km強の土地でコシーリャ・ネグラ風力発電所の建設を開始。同発電所は2024年7月から稼働している。
だが、今年6月11日にウルグアイ外務省がこの土地は自国領で、ブラジル領として承認していないのに、エレトロブラスが許可も得ずに発電所を建設したと抗議する書簡を送付。領土紛争に関する協議を再開するべきだとも主張し始めた。
現在のウルグアイ領は19世紀初頭までブラジル帝国の属州だったが、ブラジル帝国はシスプラティナ戦争後の1828年にウルグアイの独立を承認した。国境を画定する条約は1851年に署名されたが、1933年に技術者らがリンカン・デ・アルチガス地域の保守改良作業を行っていると、ウルグアイの大佐が同地域の国境標識の位置の分析を始め、境界線を引いた立会人がインヴェルナダ川とモイソンエス川に関する解釈を間違え、ミスを犯したと主張し始めた。
これを受け、ウルグアイの地理学者が再調査を行い、この地域の国境線は誤ってひかれたと結論づけたため、ウルグアイ政府は翌年、同件の分析を求める覚書を送付。だが、ブラジル政府は条約発効から78年間、境界線の解釈に疑問が生じたことはないとし、国境線見直しの可能性を排除した。
だが、1985年にブラジルがヴィラ・トマス・アルボルノスの建設を決めたことで紛争が再燃。ブラジル側は再度、条約と19世紀の境界線に基づき、同地域はブラジル領だと主張。1989年にウルグアイに送られた書簡には、この問題は解決したと記載されていた。
ブラジルとウルグアイの間では、この地域の他、ブラジレイラ島についても領土紛争が続いているが、それにも関わらず、両国間の外交関係と友好関係は良好だ。