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最高裁=政府と議会の和平交渉も=IOFの訴訟問題に関して=三権の関係の不安定化恐れ

2025年7月10日

最高裁(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)
最高裁(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 【既報関連】連邦政府が1日に連邦議会による金融取引税(IOF)増税の大統領令拒否の合憲性を巡って最高裁に訴えを起こしたが、最高裁は連邦議会との関係性を憂慮し、この問題を慎重に扱う意向で、連邦政府と連邦議会との和解交渉も辞さない状況にあると2日付フォーリャ紙が報じている。(1)

 6月25日に連邦議会がIOF増税を無効にする法案を承認したことを受け、連邦総弁護庁(AGU)が最高裁に違憲だと訴えたことで、この問題は拡大の一途をたどっている。
 この訴訟の背景には、ルーラ大統領の憤慨があるとされている。大統領はウゴ・モッタ下院議長が6月24日の夜、IOF増税阻止の法案審議を急遽呼びかけ、翌日に下院と上院で承認したことを連邦議会に対する裏切り行為と見なしているとされている。
 モッタ議長はこれに対し、連邦議会の裏切りを否定し、言動で分断を煽っているのは大統領の方だと主張。IOF増税却下後は特に、連邦政府関係者からの「議会は大企業や高所得者の味方をしている」との発言が目立ち、「富裕層対貧困層」の図式を煽っているとたびたび報じられている。
 ある最高裁判事はすでに、この対立により、三権分立の原則が制度的に不安定になることを恐れ、ルーラ大統領自身が和平的解決に向けた努力をするべきだとの考えをフォーリャ紙に語っている。その判事は、連邦政府が起こした訴訟手続きをいったん中断して軌道修正する「訴訟再開」という言葉を使っている。
 またその判事は、IOFの問題は法的なものではなく、議会との関係を含め、連邦政府側の計画性の甘さによるものだとしている。
 最高裁の判事たちは、AGU側が勝訴する可能性を認めている。それは、2019、20、23年に、州政府の政策執行を州議会が停止しようとしたことを否定する判例が既に存在しているためだ。
 しかしながら、最高裁判事たちは、その結果がもたらす政治的な影響を恐れている。中には、この問題に介入することに対して消極的な判事もいるという。最高裁はクーデター計画やインターネット基本法に関する裁判で、国を激しく二分する結果に直面したばかりだ。
 今回は、最高裁内にこの対立をなだめたいとする意向があるのはこのような状況を受けたものだ。今回のIOFの訴訟の担当はアレッシャンドレ・デ・モラエス判事が務めることになったが、同判事が連邦政府と連邦議会を和解のための交渉役を引き受け、牽引することを検討していることを他の判事たちも認めているという。
 もっとも、このIOF訴訟を前に、三権の代表者らが顔を揃える機会がある。それは今週、ポルトガルのリスボンで行われる第13回リスボン法フォーラムの存在だ。最高裁のジルマール・メンデス判事が共同主催者に名を連ねる別名「ジルマールパルーザ」では、AGUのジョルジュ・メシアス長官、モラエス判事をはじめとした最高裁判事、モッタ下院議長が一堂に会するため、そこで何らかの動きがある可能性も指摘されている。


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