連邦政府=企業農業に5162億レ融資=年利14%で活用困難と批判も

【既報関連】ルーラ大統領が1日、アグリビジネスを対象とする収穫計画(Plano Safra voltado à agricultura empresarial)を公表し、25/26農年は中規模・大規模生産者向けに5162億レの農業融資を提供すると発表したと同日付G1サイト(1)(2)(3)などが報じた。
25/26農年の予算は前農年の5085・9億レを約80億レ上回り、融資とマーケティングに4147億レ、投資に1015億レが充てられる。
融資の条件は受益者のプロファイルと利用するプログラムによって異なり、中規模農村生産者向け国家支援プログラム(Pronamp)の対象生産者への融資とマーケティングの金利は年10%、その他の生産者の場合は年14%。投資の金利は年8・5~13・5%の間で変動する。連邦政府は「持続可能な生産活動を行う生産者は、金利引き下げなどの特別条件を利用できる」と強調した。
だが、1日付カナル・ルラルサイト(4)によれば、この金利に関して、マット・グロッソ州大豆トウモロコシ生産者協会(Aprosoja-MT)は「現在の経済基本金利(15%)に近い金利では、特に地方の負債が高額累積した現在においては、ほとんどの生産者にとって農村融資は事実上不可能になる」と懸念を表明する声明を発表した。2日既報の小規模家族農向け収穫計画の金利は2、3%から用意されていた。
なお、融資は、環境保全に向けた取り組みを促進することを目的とする、在来種や外来種の森林樹種の種子や苗木の生産、再植林にも使用できる。収穫期と収穫期の間に土壌を保護するための被覆作物も環境保存策として融資対象となる。
また、25年7月1日までとされていた農村信用事業の融資金利への0・5%の割引は、26年6月30日まで延長された。この措置はPronamp対象者と持続可能な活動に投資する生産者に適用される。各金融機関には年毎に上限が定められている。
ルーラ氏は収穫計画発表の際、ブラジルの農業の生産性は環境保護能力と直接結びついているとし、この認識は伯国を食料生産のリーダーに位置付けるもので、農業分野全体と社会に浸透すべきと強調。農業生産での成功は生産能力の向上や市場への進出拡大だけではなく、国土にとり適切かつ必要な保全活動、河川や水源の保全、劣化地の回復により、より少ない面積でより多くの生産を得られることを学んだこととし、国内には4千万ヘクタール(ha)の劣化地が残っているとも語った。
また、大統領は、遺伝子組み換えその他の技術の発展で生産性が向上し、農家の収入も増えているが、ブラジルは森林破壊や森林火災の国で、非礼な国として嫌われていたことにも気づき始めたとし、ブラジル社会や企業家、中小農家がこのような認識を深めて来たからこそ、ブラジルは尊敬されるようになり、恐怖心が和らげられてきたのだと付け加えた。
持続可能性向上のため、今農年からは農業融資用の農村信用にも気候リスク農業ゾーン(Zarc)の推奨が必要となる。Zarcは悪天候による損失リスクが最も低い地域と作付時期を特定するツールで、小規模農家が家族農強化国家プログラム(Pronaf)に基づき、農業活動保証プログラム(Proagro)による農村保険に加入して行う20万レ以下の事業に限定されていたが、今後はこの金額を超える融資やProagroが不要な契約にも適用される。
環境的に持続可能な農業慣行に焦点を当てたRenovAgro Ambienntalというサブプログラムには、保護地域の復興や農村地帯における火災の予防と対策も含まれることになった。このサブプログラムの資金は給水車やトレーラーの購入や、恒久的な保護地域や法定保護区の改修・再編のための在来種の苗木購入などにも利用できるという。