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メルコスル首脳会議=ミレイ「官僚主義」と批判=ルーラ反論「高い目的意識」=アジア諸国と関係強化提唱

2025年7月10日

メルコスル首脳会議より(Ricardo Stuckert/PR)
メルコスル首脳会議より(Ricardo Stuckert/PR)

 【既報関連】3日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでのメルコスル首脳会議の席で、アルゼンチンのミレイ大統領との意見が割れる中、ルーラ大統領がメルコスルの重要性を強く説いた。3日付G1サイト(1)(2)が報じている。

 ルーラ大統領はこの日の首脳会議での演説で、メルコスルに加盟することにより、その国は保護を受けることになると主張した。
 「南米全体が明確に均衡のとれたルールに基づいた自由貿易圏となっている。メルコスルに入ることによって、私たちは守られるのだ。共通の対外関税は、外国との貿易戦争から私たちを守ってくれる。我々の制度的な堅実さは世界から見て、パートナーとして信頼できるものとなっている」と語った。
 この演説は、ミレイ大統領が、メルコスルは官僚主義に縛られ、「鉄のカーテン」の中で加盟国に対して制限を課しており、加盟国住民に損害を与えていると批判した後に行ったものだ。
 ミレイ氏は「メルコスルは地域経済を統合するという高い目的意識を持って作られた。だが、ある時点でこの目標は崩れ、共同の商業活動は一部の優遇と引き換えに国民の大多数に損害を与えることになった」「価値あるものとして作られた障壁は世界貿易との競争から我々を取り残すことになり、劣悪な商品、サービス、価格が提供されることとなった」と語った。
 ミレイ大統領は加盟国の個別で貿易交渉を行う自由を認めるよう求めている。このような要望はラカージェ・ポウ大統領の頃のウルグアイからも出たが、左派のヤマンドゥ・オルシ大統領に代わってからは風向きが変わっている。
 ルーラ氏は3日にメルコスルの議長職を引き継ぎ、年末までの半年間、議長となるが、域内、域外のパートナーとの貿易強化を最優先事項と強調した。ルーラ氏は、欧州(EU)と欧州自由貿易連合(EFTA)との自由貿易協定は今年末までに正式に締結できるとの見通しを示すと共に、エクアドル、コロンビアとの協定更新、カナダ、アラブ首長国連邦、パナマ、ドミニカとの貿易協定交渉を進めると語った。
 ルーラ大統領は協定の内容に関し、自動車産業や砂糖産業を関税同盟に含めることも提唱した。また、米国と中国との関税戦争が激化する中、メルコスルがアジア諸国に目を向ける必要があるとも述べた。
 「メルコスルは世界経済のダイナミズムの中心であるアジアに目を向けるべきだ。日本、中国、韓国、インド、ベトナム、インドネシアなどと密な関係を築いていくことは、メルコスルがグローバルな価値を持つ存在となっていく上で大きな利点となるはずだ」とルーラ氏はその意義を主張している。
 今回の成果としてあげられるのは、2日にEFTAとの条約交渉の最終合意が成立したことだ。加盟国毎の承認作業が終わるまでは正式な締結ができず、発効しないが、ブラジルの場合は、この自由貿易協定により、農産物や工業製品の輸出が促進され、医薬品などの輸入コストも低下すると見られている。この貿易協定により、ブラジル
の貿易は10%増加し、72億ドルの経済効果があるとされている。


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